二人で笑おう
「はは…はははは! はっはっはっはっはっは!」
僕も笑っていた。彼女と一緒に、僕も。彼女と笑えている、なんて幸せなんだ。
甘い香りが、空から漂ってくる。何の香りだろう。そう考えた時、紙吹雪のように花びらが地上へと浮かび上がって行った。
よく見ると、それは屋上の花壇に植えられていた白いバラの花びらだった。雪のように、僕らの視界を飾り付ける。それを夕日が、黄金色に優しく照らしていた。
ひとしきりお互いに笑いあって、彼女は僕の胸から顔をあげた。
「いい眺め」
彼女の表情は顔の位置が僕より下で拝めないけど、なんとなく笑っているような気がした。
おしまい