言の寺 其の弐
dokuro heart loverz
紫の煙をポンポンと吹き出すハート
毒とわかって君に焦がれている
左折して君に逢いに行く
右折して会社に向かうべきなのに……
失う歓びを 君が植え付けた
僕の体は死を選び
心は君選ぶ
君が突き立てた爪
まだ背中に刺さったままの感触
Yシャツの下で じりじりと焼ける
一番下の内臓が血を凍え
硬く壊死をする
マンションのピンポンを鳴らす指
毒染めのピンク
発熱 ドアノブの冷たさ 君に似た部位
僕は帰ってきた
自らを獲物として
君に供出するべく だ
君の笑顔が殺意を込めて
「おかえり」
世界一長い一秒
僕だけの閏時(うるうどき)
報い
僕の求めている報い
体温よさらばだ
きしきしベッド
シャンプーの匂いガス
実験材料になる悦楽
とめどない流出 嘲笑う黒髪
タイムカード引き裂かる頃 僕は
犯す毒に犯され
すっかり髑髏心臓