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【創作】「背中合わせで抱きしめて」

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放課後、アレンが図書室で本を読んでいたら、級友が声を掛けてくる。

「アレン、帰らないのか?」
「うん、ウィズ待ってる」
「また呼び出し? たく、あいつ何やったんだよ」
「ウィズは何もしてないよ」
「だから、あいつを甘やかしすぎなんだって。もう放っといて帰ろうぜ?」

アレンはバンッと本を閉じ、顔を上げた。怯んだ様子の相手に、ゆっくり、はっきりと告げる。

「俺が、ウィズと帰りたいから、待ってるんだよ」
「え? あっ」

その時、ウィズがふらりと図書室に入ってきた。

「アレン、お待たせ」

ウィズは、級友にちらりと視線を向ける。相手はあたふたと立ち上がり、もごもごと別れの挨拶をして出て行った。
ウィズはその背中を見送ると、アレンの向かいに座って溜息をつく。

「・・・・・・俺が怒られたんだけど」
「そっか。ごめん」

アレンが頭を下げると、再びウィズが溜息をついた。
ウィズが呼び出された理由は分かっている。アレンが、進路を進学から就職に変更したから。それならアレンを呼び出せばいいはずなのだが、周囲は、「ウィズの我が儘にアレンが付き合っている」と受け取るのだ。

「アレンはどうしたい?」
「ウィズと一緒にいたい」

アレンが即答すると、ウィズは視線を逸らして、

「・・・・・・俺は、アレンの子供じゃない」
「分かってる。ウィズの為じゃないよ、俺の為。俺が、ウィズと離れたくないんだ」
「魔道士になるんじゃないのかよ」
「ウィズの為に諦めた、って言ったら嫌?」

ウィズはむすっと黙り込んだ後、「・・・・・・嫌だ」と呟く。アレンは同意するように頷いて、

「俺も嫌だ。俺の為に、ウィズのやりたいことを諦めて欲しくない」
「・・・・・・・・・・・・」

ウィズは、二・三度瞬きして、首を傾げた。しばらくアレンの顔を見つめてから、

「双子だから、か」
「え?」
「魔道士に、なりたいんだ」

アレンは、何も言わずにウィズを見返す。ウィズは頷いて、「魔道士になりたいんだ」と繰り返した。

「魔道士になって、ユークとフリートに会いに行きたい」

その言葉に、アレンは満面の笑みを浮かべる。

「俺もだ」

ウィズはにやりと笑うと、身を乗り出してきた。アレンも机の上に乗り上げて、互いの額を合わせる。内緒話をする時の、お決まりの体勢。

「一緒に行こう、アレン。今度は、俺達の番」
「うん。フリートもユークも、悪者なんかじゃない」

そう、今度は、自分達が助ける番。二人の名誉を回復させる方法を、模索しなければ。
二人はくすくす笑いながら、誓いの握手を交わした。



終わり