夢 - 兄妹 -
気が付くと、私は病院のベッドに寝ていた。
枕元には、心配そうな夫の顔があった。夫の額には包帯がまかれて少し血が滲んでいた。
私の両腕には、赤ちゃんを抱き取ったときの温もりと、ずっしりとした重量感がそのまま残っていた。
幸い、夫も私も私のお腹の子も無事だった。
やがて、私は無事出産した。
出産前には敢えて子供の性別は聞かなかったのだが、生まれてきた子供は女の子だった。
そして、分娩台の私の横に運ばれてきた子供の口許の右側には、小さなほくろがあった。
私はそのほくろを見た途端に、涙が止まらなくなった。
たった今生まれたばかりの赤ん坊の温もりを全身で感じながら、私はこの子をいっぱい抱っこしてあげようと思った。
- 完 -
作品名:夢 - 兄妹 - 作家名:sirius2014