夢 - 兄妹 -
1年も過ぎた頃には、もう以前と同じ生活に戻ることができた。
子供は欲しかった。けれど、妊娠するのが怖かった。
お腹の中で死んでしまうんじゃないか。きちんと育たないんじゃないか。
どうしてもそういう考えが頭に浮かんできて、妊娠するのがとても怖かった。
夫は、無理しなくていいよって、言ってくれた。
ゆっくりと、時間をかけて、少しずつ気持ちを切り替えて行こうって。
だけど私は、あの生まれて来ることができなかった子のことを、忘れることができるとは思わなかった。
あれから5年が経過した。私の妊娠に対する恐怖もだいぶ薄れていた。
そんなとき、私の父が脳梗塞で倒れた。
私は、父に孫の顔を見せてやりたかった。それに、私も夫も、やっぱり子供が欲しかった。
そして、私は妊娠した。
作品名:夢 - 兄妹 - 作家名:sirius2014