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「もしも、君たち２人が現地で拘束されたとしても、本当の氏名や所属は絶対に教えないように。万が一、バレてしまったとしても、こちらは知らぬ存ぜぬを突き通すから、そのつもりで」
ヘーゲルは、念押しするように忠告した。２人は、ただ黙ってうなずいていた。
　異次元における国際法によって保護されている在外公館を悪用した極秘作戦なので、こうした非情な措置を取ることにしておくのは、仕方が無いことであった……。
「はいはい、わかっていますよ」
佐世保はそう言い捨てると、転送装置の上に乗った。上社もそれに続く。

　２人は、転送装置の所定の位置に立った。
「それでは、転送を開始します」
転送係の職員はそう言うと、転送ボタンを押した。
　いかにもＳＦチックな効果音とエフェクトの後、転送装置の上にいた佐世保と上社は、転送により姿を消した。