小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
月とコンビニ
月とコンビニ
novelistID. 53800
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

ミニ・ギャングスタ・マイス

INDEX|4ページ/4ページ|

前のページ
 

【7】逃げ回ってきた子積

○子積イリ
子積    なんとか、撒いたか…。
      毎度のことだが、しつこい奴らだな。人間どもが。
      ……中田さん、生きてるかな。
      まあ、やすやすと死ぬような鼠じゃねえな、俺らのリーダーはよ。
      とりあえず、根城に戻って…、ん?
○子積、動こうとするが足が動かない。下を見ると粘着シートが

全ての音が消える。無音。
子積、もがけばもがくほど、粘着シートにとらわれる。
とらわれながら、自分が入ってきた方の舞台袖を見る。何かが見ている。
全ての感情が一度に訪れたような顔をしながら、舞台袖に手を伸ばす。
子積、力尽きる。

【8】子積、力尽きた体勢で舞台中央に。その周りには、今までに死んでいった鼠たちが倒れている。

○中田イリ
中田    子積さん!
      子積さん、良かった、無事だったんだね。
      …。
   やったよ、思いっきり噛みついてやった。
   あれじゃ、当分は出てこられないさ。
   そのうちに次の手を考えなくちゃ。
   次の手を…。
   …。
   ねえ、子積さん。
   子積さん…、
   …。
   …っ…、
      っ…あ…、
      ……っえ、
      あえ…っ…?
○中田、頭を押さえてしゃがみ込む

中田、だんだんと呼吸が激しくなる、激しくなる。
それに呼応するように、死体たちがピクリと動く。雑音がひどい。
だんだんと呼吸のリズムに合わせて、死体たちが立ちあがっていく。
最後に子積も立ちあがり、死体たちはしゃがみ込んでいる中田を、操り人形のように立
ち上がらせる。
中田、声にならない叫び。
そして死体を率いているように、死体に身を任せているようにハケ。

【9】従業員2がしゃがんでいる

○遠くで声が聞こえる
従業員1  あ、ねずみだ!
駆除業者  ねずみだー!
工場長   ねずみだぞ!
従業員1  ねずみがでた!
駆除業者  ねずみだぞ、ねずみ!
工場長   おい、ねずみだってよ!
従業員1  ねずみだ!
駆除業者  ねずみだ!
工場長   ねずみだ!
○中田・死体一同イリ
従業員2  ねずみだ。
中田    …。
従業員2  まだいたんだ。
中田    …何でだ。
従業員2  ああ、こいつ、賢い奴か。チーズ食べる?
中田    なあ、何でだ。
従業員2  内堀さん、怪我しちゃったんだぞ。ほら、指。
中田    何でまだ終わらない!
従業員2  あんなに可愛がられてたのに噛むなんてな。
中田    …。
従業員2  小井原さんも可哀相にね。彼は、アルバイトなんだよ。
中田    俺にこれ以上どうしろって言うんだ。
従業員2  こんなに頭の良い鼠がいたんじゃ、上手くいかないよ。
中田    …どうやったら終わるんだ。
従業員2  先輩として、上手にフォローできてたと思ったんだけどなぁ。
中田    聞いても無駄か…。
従業員2  彼、やめちゃうって。
中田    人間の言葉なんて分からないんだ。
従業員2  やっぱり、薬入りのチーズっていうのが回りくどかったのかなぁ。
中田    …!
従業員2  彼のトラップを上手く生かせてたとは思うんだけど。
○中田の呼吸がだんだんと、浅く激しくなってくる。死体、呼応。
中田    はあっ、はあっ、はあっ、はあっ…。
従業員2  まあ、でも実際トラップにはかなりの数の鼠が嵌ってたし。
中田    はあっ、はあっ、はあっ、はあっ…。
従業員2  効果はあったよね。
中田    はあっ、はあっ、はあっ、はあっ…。
従業員2  今日でここも最後かぁ。
中田    はあっ、はあっ、はあっ、はあっ…。
従業員2  でも、君と同じようにすばしっこくて頭の良い奴も駆除できたし。
中田    はあっ、はあっ、はあっ、はあっ…。
従業員2  それに…。
中田    うあああああああああああああああああああああああああああ!
○中田、従業員2に殴りかかろうとするが、足が動かない。

一気に現実に引き戻される。
死体、その場に崩れ落ちる。

従業員2  最後に君を駆除できて良かった。

中田、恐怖の感情に飲まれる。暗転。