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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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宗教の勉強後のお母さんとの電話。~その二~

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お母さんは、まだ他に勉強の話で何かなかったかと聞いてきた。
まだあるので私は続きを話した。

『み使いは昔見えたけど、今は見えなくなった。という話。神が見えなくしてしまった。っておばちゃんは言った。』
お母さんも肯いて、
『そこまでは同じ。お母さんも同じ説明を受けてる。でもあなたはその続きがあるんでしょ?!なんて言ったの?!』
と好奇心丸出しだった。
『昔、み使いは見えたけど、今は神が見えなくしてしまったって。それで、み使いは見えなくしたけど、悪者が見えるのはなんでか疑問に思ったから、悪者が見えるのはどうしてですかって聞いた。』
と私が言うと、お母さんは、
『はーーーっ、その質問いいわ!!よくそこに気付いた。あなたがお母さんの家で汚い男の子を見たからそう思ったんでしょ?!それで、おばちゃんの反応は?!…まさかちゃんと答えた?!』
と今までのお母さんじゃなくなったというか、本当のお母さんらしさが出て来た。
私としてはお母さんの家で見てしまったんだから、それで聞いたくらい分かってよと思った。そしてお母さんの好奇心が半端じゃなくなってきた。
私は一旦一呼吸置いて、お母さんじゃなく自分が落ち着いた。
『私はもちろんちゃんとした答えが来ると思って聞いてるからね。お母さんを信じて勉強してるから…。そこ忘れないで。』
『分かった、分かった。それでおばちゃんはなんて答えたの?!』
と言いやがったから、“あっ、もう分かってない…。”と私は悟った。
『そしたら、おばちゃんは笑顔のまま固まった。』
と言ったら、お母さんは吹き出して大爆笑し始めた。
お母さんは大爆笑しながら、
『おばちゃんを見たことないけど、想像付く~。』
と言った。
私の目的はそこじゃなくて、答えに納得がいかないということを伝えたいのに…。
私はお母さんの笑い声を無視して説明を続けた。
『で、おばちゃんが何か言うのを数秒待ったの。そしたらおばちゃんはその固まった笑顔のまま、“神はみ使いたちを私たちから見えなくしてしまったんですね。”って言って終わった。だから私は返事をして、悪者が見えるのはどうしてですか?!悪者はサタンの手下ですよね。その手下たちです。サタンも見えるんですか?!って聞いたの。』
と私はそう話した。
いつの間にかお母さんの大爆笑は止んで、沈黙のまま聞いていた。
そして、私が話終わるとお母さんは、
『はい。』
と無駄口叩かずしっかりと返事をした。
それに対して私はよろしいという気持ちを込めて肯いた。
『おばちゃんはその質問に、“そうです、そうです。手下です。”って答えただけ。』
『なんなのその答え。質問に対しての答えになってないじゃないの。』
とお母さんは安定した口調になったので私は肯いた。
『その後、答えが続くと思ったから待ったけど、それで終わりだった。おばちゃんはもちろん笑顔のままでね。笑顔でいたら万事解決みたいな気持ちがあるのかなぁ~とか頭を過るけど、私はそんなことで納得しないからね。』
『しなくていい、しなくていい。分からないならしっかりと質問しなさい。そしてそれをお母さんに話しなさい。お母さんは一人でウケるから。』
とお母さんは真面目に言う。
私はお母さんが笑うためにしているわけじゃないのに…。
まあいいやと私は話を続けた。
『このままだと話が進まないから違う質問をした。昔の絵画に天使とかみ使いとかが描かれてるから、おばちゃんたちの関係者が描いたのか聞いたら、違うって。あの時代はもうみ使いは見えなくなっているか聞いたら、見えなくなっているって。だから私は、では、あの絵画を描いた人たちは、サタンやサタンの手下たちのせいで見えるはずのないみ使いを描いたということで合ってますか?!って聞いたの。そしたら、笑顔だったおばちゃんの目が大きく開いて、“合ってます、合ってます。そうです、悪霊のせいで見えたはずです。…でも、その中に見えたわけではなく、他の人の絵を見て想像して描いた方もいるかもしれません。”って答えた。』
と説明したら、またお母さんの驚いた声が響いた。
『えーーーっ!!何その答え!!そんなこと聞いたこともないし、本のどこにも書いてない。本当におばちゃんがそう言ったんだよね?!その答えはおかしい。その人たちは絶対に悪霊に関係することに近付かないし、関わらないんだけど、美術館とかアートとかよく見に行くみたいよ。絵画とかも絵画展があれば、絵の好きな人は見に行くみたいだから…。だからお母さんはその答えはおかしいって言ったの。』
そのお母さんの言い分に私も驚いた。
『ウソーーーッ!!そしたら、あの答えは何?!どうしたらあんな答えになるの?!私嘘つかれてるの?!』
『それは違うと思うよ。おばちゃんは嘘を付こうとしてるんじゃなくて、どうにかしてあなたにこの宗教に入ってもらおうとしてるんだと思うよ。その思いが、絵画を描いたのは悪霊のせいだって言ってしまったんだと思うよ。もちろん事実じゃないなら、こんなこと言ったらダメなんだけどね。』
とお母さんは落ち着いてそう言った。
『私は宗教なんて入らないよ。ただ本当のことを知りたくて教えてもらおうと…。』
と私が言ってる話を遮って、お母さんは、
『分かってる、分かってる。だからもう少し我慢して続けて。まだまだ面白くなりそうだから。…それで、その後どうなったの?!』
と言いやがった。
私は納得が行かずブスッとなったけど、話を続けた。
『私はおばちゃんのその答えに納得はしてないからね。してなくて話を続けたからね。それで、私は最初の質問に戻したの。サタンやサタンの手下はどうして見えるのかって。そしたらおばちゃんは、“サタンは見えませんよ。”って答えた。でまたおばちゃんは止まるから、どうして答えを出し惜しみするんだろうって思ったの。結局は、分かる・分からないのどっちにしても答えるんだから、こっちとしては答えて欲しいわけよ。』
お母さんは相づちを打ちながら聞いていた。
『それで、私はちゃんと知りたいんです。事実だけを科学的にちゃんと知りたいんです。って言ったら、おばちゃんは、キリッとした表情で、“はい、私は神について証すものですからちゃんと教えますよ。科学的に知りたいのも分かってます。”って言ったの。』
『ほ~。はっきりと答えてくれたね~。』
とお母さんが言うから、
『でしょっ?!だから私も期待してしまうでしょっ?!それで、また聞いたの。手下について。そしたらおばちゃんはあっさりと、“手下については分かりません。”って答えて終わり。あれだけハードル上げて、ここまで落とすことないよな~お母さん!!神様信じてる人がこんなことしていいわけ?!“神やキリストのようでなければいけません”っていう人がこんなことしていいの?!神様はこんなに性格悪いの?!』
と私は誰も攻める相手がいないのでお母さんを攻めるように聞いた。
『あんたの言いたいことはよ~く分かる。そのおばちゃんがおかしい。』
と落ち着いてそう答えた。