誕生日って幸せな日?
そう言って瑞希は帰って来なかった。健は瑞希の言うことがよくわからなかった。しかし、徐々に変わっていく風貌は明らかに今までの瑞希とは違っていた。隼人の葬儀で部下を数十人連れていた瑞希が学校を辞め、今どこで何をしているのか、はっきりわかっていた。しかし、それを決して、美穂たちきょうだいに教えることはなかった。父にさえ。」
ナレーター1「7年後、阿部組の頭は死去し瑞希が阿部組を継いで頭となった。それから2年ほどして、組の勢力を伸ばそうとし、阿部組は隣町まで進行したが、敗戦を喫した。組は壊滅した。そして、なんとか東京へ逃げ切った瑞希はある男に救われることとなる。」
男「おい、お前。腹減ってんのか?」
ナレーター2「歳は40後半くらい。男の格好は明らかに普通の商売をしている人のそれとは違っていた。」
瑞希「あぁ。マジで餓死する。あんたもしかしておごってくれたりする?」
男「いいだろう。ただ、条件がある。」
瑞希「ドンとこい。略してドン小西。」
男「とりあえず、ドン小西は俺の組に入れ。」
瑞希「ドン小西じゃねぇし、佐藤瑞希だし。どうやら俺はヤクザで生きる運命みたいだな。」
男「再就職おめでとう。佐藤瑞希。」
瑞希「よろしく。あんたは?」
男「伊東だ。あんたはやめてくれ。」
瑞希「お世話になるぜ、伊東組長。」
伊東「伊東組へようこそ。」
瑞希「まずは飯!」
伊東「とっておきのステーキ屋がある。ヒレ食うぞ。」
瑞希「よっしゃ!」
歩き出す2人
伊東「あとよ、お前英語とかしゃべれねぇか?」
瑞希「会話くらいならまかせろ。なんだ?」
伊東「海外から銃を取り寄せようと思ってな。」
瑞希「それならちょうどいい。ついこないだまで取引してた国があんぜ。」
伊東「なんだ、俺とお前が出会ったのは運命か?」
瑞希「かもな。それより早くsteak行こうぜ。」
伊東「発音良すぎだろ(笑)あと、お前家族はいねぇのか?」
瑞希「そんなもん。だいぶ前に失っちまったぜ。」
ナレーター1「瑞希の目はどこかさみしげだった。伊東は深く聞こうとはしなかった。」
瑞希「そんでさ、俺どこに住めばいい?」
伊東「しばらくは事務所にでも泊まっとけ。」
瑞希「了解!まずは飯、飯!」
伊東「どんだけ腹減ってんだよ。」
さっき会ったばかりなのに妙に話が合う2人
ナレーター2「この運命的な出会いから12年。伊東組は抗争に巻き込まれ、瑞希は敵の組長の首を取り、大勢から命を狙われることとなり、瑞希は死を覚悟する。そして、死ぬ前に佐藤家に戻ることになる。
この物語はフィクションである。
あったりまえだのクラッカー。」
つづく。
作品名:誕生日って幸せな日? 作家名:しょう