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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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ついに勉強が始まった。

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次の週、いつものようにインターホンが鳴って、おばちゃんが笑顔で登場した。
人を招き慣れていない私は出来る限りのことをした。
この一週間で、座布団を買ってきたりお客さんようの湯呑みをダンボールから出したり部屋の掃除をしたりコーヒー・緑茶を買ったりと…。
これでいいのか分からずドキドキしていた。
そして部屋に入るとおばちゃんは部屋を見回し、
『綺麗にしてらっしゃいますね。』
と褒めてくれた。

お母さんからは、
『兎に角、誰でも褒めてくれる。』
と言われていた事を思い出した。

そしておばちゃんが部屋へと入ってすぐに、私は部屋の中を見回した。
その理由はおばちゃんが部屋を褒めてくれたからではなかった。
お母さんの家に帰っている時、お母さんの宗教の勉強に付いて行った時も会館に付いて行った時も見えたのが、真っ白い煙のような雲のようなものが部屋の中を覆っていたので、宗教のおばちゃんが家の中に来たら同じように白いそれが見えるのか、存在するのかを確かめたかったから。
そしてそれがある時は、とても気持ち良かったからだった。

そして答えは、見えたのだった。
床の方は白く漂っていなくて、部屋の高さ半分から天井にかけて真っ白い雲のようなものが漂っていた。

私はおばちゃんにそのことを説明して、
『やっぱり証すものの人が来ると白くなるんですね。その人達って凄いんですね!!』
と言うと、
『あははは…、そうですか。』
と言うだけなので、私はどうして何も言わないのか不思議に思い、
『見えますか?!その辺です。』
と私は指差して教えた。
おばちゃんは、
『私には見えません。』
と言ったけど、指差した方を見てくれもしなかった。
なのに見えませんと言われた。
私はその白い漂いをニコニコしながら、
『凄いな~、凄いな~、宗教の人たちって凄いですね!!』
と言い続けた。
でもおばちゃんはこっちを見向きもせず、
『そうですか。そんなに凄いですか。それは嬉しいですね。ありがとうございます。』
と違う方を向いたままそう言った。
凄いけどたまに不思議だなぁ~と感じた。

そして勉強が始まった。
勉強を始める前にお祈りが始まる。
でも私は無宗教に近い仏教だ。
このお祈りは辛い…。
“アーメン”なんてお笑い番組とかで知った言葉だし、意味もよく分からない。
でも、お祈りが終わるとおばちゃんに続いて言わなくてはいけない。
どうしてやり方が分かるのかと言ったら、お母さんに何度か付いて行っているので、なんとなくの進め方は知っていた。
そしていずれかは、心から言える時が来るのだろうか…なんて考えていた。
そういうことも神様は前もっておばちゃんたちに伝えてくれているとありがたいと思った。
“心から出来ない時は、アーメンと言わなくてもいんですよ~。”
とか相手の気持ちを察してそんなことを神様が言ってますよ…と言って欲しかった。

そして勉強とはどういうものなのか。
私の場合はみんなと始まりは違って、おばちゃんに、
『霊感がお強いので、邪悪なものに打ち勝つための知識と力を付けていただきたいので、邪悪なものが何なのかを勉強して行きたいと思います。』
と言われていたので、悪魔とか邪悪なものとか悪霊などに付いての勉強をすることになった。

ここで一つ疑問に思うのが、おばちゃんたちにも霊感があって聖書を理解する力があると言い、私には霊感が強いから危ないと言う。
“霊感”という字は同じでも神から出ているのか悪霊から出ているのかの違いがあるそうだが、どうして神様と話した事はないと言うのに私の方は悪霊でおばちゃんたちは神からのものと分かるのかが分からなかった。

そして私の勉強は始まった。


『あなたの今のお母様の宗教がかなり影響していると思うんですね。』
とおばちゃんが始めた。
『はい。宗教というものはないとお母さんの勉強の方から聞いています。』
『まっ、そのようなことまで聞いているんですね。はい、宗教というものはないんですね。宗教というものは人が作ったので、神が作ったものではないんですね。』
とおばちゃんは言った。
でも、どうして自分たちのやってることを宗教と言うんだろう…と疑問に思った。

お母さんの宗教のおばちゃんにもらっていた本があったので、それから勉強することになった。

おばちゃんから言われた範囲を次の週おばちゃんが来るまでに予習復習しておいて、疑問をノートに書いておいておばちゃんが来たら自分の答えと考えと疑問を言うというやり方にした。

おばちゃんが、
『悪霊とは何だと思いますか?』
と聞いてきた。
『私が見たあの汚らしい男の子ですか?』
『はい、そうですね。』
『あれはサタン(悪者の親玉らしい…)の手下ですか?!』
と私が聞くとおばちゃんは目を大きく開け、
『そうです、そうです。サタンの手下です。』
と答えてくれた。
『その悪霊・サタンの手下はどんなことを行いますか?』
と聞いてきた。
『人を惑わしたり人間の力では出来ないことをしたりします。』
『そうですね。あなたが見たものもそのようなことをしていたのかもしれません。悪霊というのは、人を騙すんですね。例えば、死んだ者と話は出来ないのに、悲しんでいる人にとってはそんなことが出来たらありがたいですよね。そういう人を惑わすのが悪霊の仕業なんですね。死者は存在しないということになりますね。』
とおばちゃんは言った。
『悪霊が人を惑わしている時に神は助けないんですか?!』
『ねっ、そう思いますよね。その答えはちゃんとあるんです。何だと思いますか?!』
とおばちゃんは輝いてそう私に尋ねた。
私が分からないでいると、
『それは武具なんですね。先週、武具についての話をしましたね。神からの武具、覚えてますか。神に近付けば近付くほどその武具は強大なものになっていくんですね。ということは、その答えは神を信じて近付くことが悪霊から遠ざかる唯一の方法なんですね。』
とおばちゃんは答えた。
私は首を傾げこう聞いた。
『どうして神はそんなに遠回しなことをするんですか?!悪者に惑わされてる人がいたらすぐに助けてあげたらダメなんですか?!神を信じて近付くまでに時間もかかると思うし…。神はその間待ってるんですか?!』
『そうですよね~。すぐに助けて欲しいですよね~。でも、神は待っていてくれるんです。』
とおばちゃんは笑顔でそう答えた。
『おばちゃんたちが直接神に頼んで、救ってくださいとかって言ってはくれないんですか?!』
と私が聞いたら、おばちゃんの表情が豹変して、早口で、
『ええ、出来ませんよ。神が見えるわけではないですしね。お話をしたわけでもありませんしね。それに神を見たものは誰もいないですからね。』
とまくし立てるように、低いトーンでそう言った。
私はまた変なスイッチが入ったと思った。
でも私はお母さんの“この宗教の人たちだけは違うから。何でも話を聞いてくれるから絶対に大丈夫。”の言葉を信じていたので、気にせずそのまま聞いた。
『神を見たものはいないんですね。』
するとおばちゃんの表情は輝き、
『はい、いないんですね。誰も神を見たものはいません。』
と低いトーンから高いトーンになってそう言った。