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ごかくはしかく

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ある学校の あるクラスの ある日のこと。
こくごの時間に先生がおっしゃった。


「きょうは 漢字のおはなしをしましょう」
子どもたちは、先生が何を始めるのかと注目していた。
先生は、黒板に短いチョークを横倒しにして 大きくこう書いた。

『 一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 』

書き終えた先生が、指先についた粉を掌で掃いながら児童のほうに向きなおると 少し がやがやしていた児童たちが 一瞬黙った。
その中で、「せんせい!」と右手を耳に触れるほど真っ直ぐに上げたのは 読書の好きな女の子だった。
先生が「はい」と掌を向けて発言を促すと その子は椅子から立ち上がり言った。
「黒板に書かれた漢字は もう小学一年生で習いました」
そういうと、少し顔にかかった髪を耳に掛けながら着席した。
数人の 男の子も周りの人と そうだよなーなどと 話し始めた。
「そうですね。もうみなさん すでに知っている漢字です」
当然!とでも言いたげに みんなの顔が緩んだ。
「じゃあ どうしてだと思う?」
先生が何を言いだすのかと 瞳は興味に変わっていく。

先生は、また黒板に向くと指差して言った。
「はい、みなさん指出してぇ。では『いち』を書きまーす」
後ろ向きの先生と同じように 手を上げて指を立てて 左から右へ横移動一回。
「かけたかなぁ…… じゃあ次『に』を書きまーす」
また児童たちは 先生と同じように 手を上げて指を立てて 左から右へ横移動二回。
「かけたかなぁ…… じゃあ次『さん』を書きまーす」
またまた児童たちは 先生と同じように 手を上げて指を立てて 左から右へ横移動三回。
「じゃあ次『し』、『よん』を書きまーす。書き順大丈夫かなぁ」
また児童たちは 先生と同じように 手を上げて指を立てて 書き始めた。
そうして『じゅう』まで書き終えると 先生は児童の方に向き直った。

作品名:ごかくはしかく 作家名:甜茶