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アンドハッピーエンド
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わすれんぼうくんのお話

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名簿六番の神郷煮 遍慎州瑠(しんごうに へんしんする)君は、顔に三つの目が横に並んでいる、変わった顔の持ち主だ。しかも手にも目が付いている。きっと全身に目がたくさんあるのだろう。僕は、今まで家の外に出たことがあまりなかったけど、外の世界にはいろんな人が存在するんだなーと感心した。

 「ヒャーぼく、かしわざきばく」
七番の柏崎 獏(かしわざき ばく)君は、頭が動物の「バク」そのもので、体は普通の人間だった。それもそのはず、彼は人間とバクのハーフなのだ。獏君の口癖は「ヒャー」で、何を言う時にもまず「ヒャー」と言ってから話しだすらしかった。

 「へっへっへ、俺はさめさめだ!」
八番の冷鮫 鮫(さめさめ さめ)君は、頭のてっぺんで髪をまとめていて、頑丈そうな鉄のマスクで鼻と口を覆っている、少し不気味な感じのする子だ。手も爪がトゲトゲしていて、まるで猛獣の手のようだった。彼は話をする時、自分の意思で動かすことができるのか、マスクが中央で割れて、左右に開き、大きな口が顔を出す。その中の歯はどれも糸切り歯のようで、もし噛みつかれたらと考えると鳥肌が立ちそうだった。

 「僕、ひとからわこき。よろしくね。」
九番の一殻 和己貴(ひとから わこき)君は、気が弱そうな男の子だ。特にそれ以外に特徴的な部分は見当たらなかった。普通の子だ。

 「よろしくおねがいしまぁ〜あああす!」
十番の場嘉谷 牢(ばかや ろう)君は、胴体が鉄格子でできているという変わった体質で、そのため上半身は服を着ていない。専用のカギを使って鉄格子の扉を開けることで、ウサギぐらいの大きさの生き物なら中に入れて飼うことができる。しかし、本人はあまりそういうことはしたくないのか、今は特に何も中には入れていなかった。

 長くなったが、これがこれから生活を共にしていく、年中組の園児達だ。どういうわけか、先生を除けば女の子はひとりもいなかった。どう考えても不自然なのだが、しつこいようだが僕はまだ四歳。全く深くは考えず「やったー! 男だけなんて夢のようだ!」と気楽に考えていた。まだ女の子との関わりが楽しく感じる年でもなかった。