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アンドハッピーエンド
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わすれんぼうくんのお話

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<わすれんぼうくんの第?>


僕の名前は忘蓮 棒(わすれん ぼう)。今日から「さくらほいくえん」というありきたりな名前の保育園に通うことになっている、少し物忘れの激しい四歳だ。こういう風に書くと、今にも園児達による楽しいほのぼのストーリーが展開しそうに思えるが、それは大きな間違いだ。そういう話が読みたいのなら、ここから先は読まないでほしい。なぜなら「さくらほいくえん」の中には、人を殺しても何とも思わないような凶悪な園児が潜んでいるからだ。これから僕が通おうとしているのは、そんなサスペンス溢れる空間なのだ。
そうは言っても、園児全員が恐ろしいというわけではない。一見普通の、どこにでもあるような保育園なのだ。ただ、その中には凶悪なヤツが潜んでいる。もちろん僕も、保育園へと向かっている現段階では、まだそのことを知らない。保育園での生活を送る中で、だんだんとそのことに気付いていくのだ。ここまで説明すれば、もうどういう物語が始まろうとしているのか、だいたい見当がつくだろう。それでは、前置きはこれぐらいにして、さっそく本編へと移ろうと思う。壮大な物語の始まりだ。


第一部 『さくらほいくえん編』


 「あなたが忘蓮棒君ね! はじめまして。私があなた達年中組の担任の、寛厚 真沙子(かんこう まさこ)です。よろしくね」
これが、僕と寛厚先生との出会いだった。寛厚先生は少しぽっちゃりとしたおばさんで、頭はパーマをかけているのか、少しクルクルと巻いていた。
 「忘蓮棒君の名簿番号は… 一番!よかったね、一番だよ!」
先生は僕にそう説明した。妙だった。別に今は四月ではない。中途半端な時期だ。そんな時期に途中から保育園に通い始める僕が、名簿番号一番。しかも僕の苗字は「忘蓮」。思いっきり「わ」から始まる。そんな人間が名簿番号一番だと?何かある。これは絶対に何かあるぞ!… そう思うべきだった。しかし残念ながら僕はまだ四歳だ。そこまで洞察力が優れているはずがなかった。
 「一番?!やったー!」
僕はすごく嬉しくなって建物の中にダッシュした。こうして僕の保育園生活は幕を開けた。

 「はーい! それでは今日から新しくみんなのお友達になることになった、忘蓮棒君を紹介しまーす!」