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ワン! だ フル!~第1話~

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第1話「デアイ! と サイカイ!」


「今日も相変わらずだな・・・」
「ハル、またかよ。お前はいつも、不幸な出来事ばかり出会うな。」
俺の隣にいた友人である「カンナ」が、笑うように俺を哀れんでいた。
「うるさいな。俺だってなんでこんなに、不幸な事ばかり起こるのか知りたいっての。」

人事のように感じるわたくし事「ハル」は、毎度毎度不幸な事ばかり起こる体質。
悪く言えば「憑かれてる」、もしくは「不幸体質」と呼ばれるものだ。
毎度毎度自分でも「こんな不幸な奴は見た事ない」と言わんばかり。
不幸な出来事に出会う毎日だった。

「昨日は横断歩道でくつ紐の影響で転んで、今日はうっかり落ちていたチョークで転んだんだっけ?」
「その影響で、俺は今日腹ペコの状態だ・・・」
俺の不幸な出来事は数知れず。
時には死にかけた状態もあったり、泣きたくなるような出来事ばかり起こった。
今日に至っては、朝は渋滞のせいで遅刻しそうになったり。
昼休みはなぜか俺の机近くに落ちていたチョークで転び、弁当がおじゃんになったりと数知れない不幸な事が起きていた。
「はあ・・・犬か猫になりたいぜ・・・」
「またそれか?現実逃避するなって。ほら、今日は俺がおごってやるよ」

俺は毎日少なからず、人には言えない不幸な事が起きるとき。
決まって言う言葉は「犬になりたい」か、「猫になりたい」の2つだ。
もともと俺は動物が好きなのもあるが、犬や猫。
あんな気ままに生活していそうな奴らが、不幸な出来事にあってると思わないのだ。
歩道を歩けばキャーキャーと叫んでもらえ、さらには餌までもらえる。
気に入ってもらえば一生愛され、その家で飼ってもらえる。

犬達から見れば「奴隷」のような扱いだろうが、人から見れば幸せに近いようなものだ。
餌は確かに、人間の食べ物からしてみればマズそうなもの多い。
加えて俺達人間が食べる物は、犬のような動物達は食べれないのだ。
不便だと思うかもしれないが、俺からしてみれば「遊んで暮らせる」ような状況。
そして幸せな毎日が起こってる。こんなに嬉しい事もない。
だから決まって言う言葉は、「犬か猫になりたい」なのだ。

ファミレスに辿りついた俺とカンナは、まずコーラを頼んで一息ついた。
「お前なあ・・・現実逃避したって、意味ないぞ?人間は犬や猫にはなれねぇからな」
「そんなのわかってるよ。どうにも、やってられない状況があるからな・・・。現実逃避はしたくなるよ」
俺はカンナが追加注文で頼んだハンバーグを待ちながら言った。
「大体お前はなんでも出来るパーフェクト人間で、俺はなにも出来ない凡人だぞ。お前にそんな事言われると、やる気出ないんだよな…」

子供の頃からの付き合いで、カンナは「お坊ちゃん」と言うタイプだ。
本人は努力したからと言いそうだが、俺からしてみたら「なんでも出来る超人」にしか見えない。
そしてクラスからの人気も高く、俺のような凡人は常にバカにされるだけだ。
「そう言うなよ。俺にだって出来ない事があるし、ハルにしかない良い所がある。俺はそれがうらやましいと思うよ」
「適当言うなよ…。お~!やっとハンバーグがきたぜ!」
腹も減っていたため、俺はがっつくようにハンバーグを食べた。
その後もカンナからなにか言われた気がしたが、忘れてしまった。