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ニューヨークトリップ 1

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かずやくんは、元ジャ○ーズだけあって、ダンスも好きだそうで、ダンスの話で盛り上がる。ジャ○ーズに多いロックが得意だそう。

三人で盛り上がっていると、突然黒人男性に声を掛けられる。
CDを渡して来た。
「もらえるって、ラッキー!」
CDどんなものか聞いてみたいし、嬉しかった。

「ドネーション!」
と、いきなりその黒人男性2人が怖い顔付きになった。
私は??となったが、2人が何やらCDを返し、「No!」
と強い口調で返す。
「虹花さんも、早く返して!逃げるよ!」

しつこく黒人にしきりにドネーション!と迫られ腕を掴まれたので、怖くなり、三人で走って逃げた。
最初はプレゼントって言ってたのに、金取るつもりだよ!と、2人は怒っていた。
なんだかショックだった。やはり、騙そうとしている怖い人もいるんだ。
そして、私は年上なのに2人に頼ってばかりだ。

英語は勉強したつもりだったが、ネイティブの発音とスピードに全くついていけてない。
ダンススクールでも感じたが、聞き取りが出来ない。勉強不足を痛感した。

かよちゃんは、そのまま学校に用があり行ってしまった。

かずやくんと2人きり。
私は少し戸惑ったが、かずやくんは、「虹花さん、もし時間あったら買い物付き合って!」
「スニーカー欲しいな〜!」

博多弁で、人懐っこくて、このルックスだもんな、そりゃママがたくさんいるか。
自分で服を買った事ないそうだ。
「服には特にこだわりないから、みんなもらいもの」らしい。

2人で服を選んで合わせたり、スニーカーどっちが良い?って。
周りの人達には私達はどう見えるのだろう。カップルに見えるのかな。


部屋で英語の勉強を少しして、明日は午前からレッスン受けて、午後に美術館でも行こうかなと、考えていた。
自分で好きな時間に好きなレッスンを受けたり、行動出来るのが本当に自由を感じ、嬉しく思う。


スーパーは、近くに2つあり、小さい方の八百屋さんというのか、そんな雰囲気のお店に入った。
キャベツを買っていたその時、

「何でこっちのお店でキャベツ買ったの?」
と、声を掛けられたのが、マキさんとの出会いだ。

「あっちのスーパーのが安いよ!」

「どこに住んでるんですか?」と、聞くと、あそこ!と、私と同じ寮みたいだ。
同じ寮の中でも、部屋が違うらしい。

マキさんもダンサーで、既婚者だが、何回かニューヨークには来ているそう。
私は、特別ダンスも上手い訳ではないし、プロや先生も目指してる訳ではないが、マキさんは、日本でダンスを教えているそうだ。

ダンススクールは、私とは違う所だったが、やっぱり上手い人はみんなニューヨークに修行に来るんだ。


「ねーねー、ジャズバー行きたくない?」


1人では行きたくても入れなかったジャズバーに、さっきスーパーで会ったばかりのマキさんと来た。
願ったり叶ったりだ。
急いで寮に戻り、少しキレイ目な服に着替えて来た。

メニューも何だか高いなぁ。
なんて書いてあるかわかんないし、お酒も詳しくないからな。
周りは大人の人ばかりだ。

よくわからないが、コスモポリタンというのを頼んでみる。
赤いカクテルと、暗い店内、テーブルにはろうそくの灯り。

JAZZの生演奏。
とびっきり大人になった気分で、うっとりとした時間を過ごした。


暗くなったら出掛けないように…
そんな言葉、すっかり忘れていたし、暗いほどニューヨークの夜にはわくわくしてしまう。

地下鉄の巨大なネズミ、薄暗いホーム、薄汚れた電車内さえにも、ドキドキした。








作品名:ニューヨークトリップ 1 作家名:虹花