ニューヨークトリップ 1
いつもより遅く起きた朝、朝食を作りながらのキッチンから、寝室を覗くと、生後4ヶ月の息子が必死にパパを起こそうとしている。
トーストを焼きながら、しみじみと幸せを感じる。
「ご飯食べる~?」
平凡な幸せなんていらない。
なんて思っていた5年前の自分が、髪が伸びっぱなしで、黒髪プリンになり、白髪交じりの私のこんな姿を見たら、ビックリするだろうか。
TV番組でニューヨーク特集をやっていると今でも胸がときめく。
今でも鮮明に記憶が蘇ってくる。
今の私から考えて、そんな破天荒な行動をよく出来たなと思う。
当時の好きな言葉はファンキーだ。
平凡ではない幸せは、ジェットコースターの様に、浮き沈みがある。
刺激的だけど、ずっと乗り続けて居たら疲れてしまう。
毎日騒いだり、笑ったり、喜びも大きいけれど、泣いたりする事も多かったし、もう、保証のない幸せはいらない。
5年前の私は、毎日ダンスに明け暮れていた。
ダンスを愛していたし、ダンスが恋人だった。
留学に行きたい気持ちはずっと強くあったし、アートや美術館も大好きだ。
短期だが、毎日、ダンスと美術館巡り、好きな事しかしない旅だなんて、なんて夢の様だろう。
英語もレッスンに通ったものの、ろくにしゃべれないし、親にも反対されたが、その熱意だけで決意した。
旅行に行く直前にニューヨークでは、発砲事件が起きたりで、不安がどんどん大きくなった。
周りの人に、ニューヨークはキレイな格好をして行ったら、狙われるからわざと汚い地味な服を着て行けと言われ、わざとダサい格好で行った。
ドキドキのニューヨーク行きの機内で、隣に座ったのは日本人の紳士でホッとした。
CAが英語で色々話しかけて来た時も、ボーディングカードもその人が通訳してくれた。
聞けば、ニューヨークで仕事をし妻子と暮らしているらしい。
大変気さくな方で、話もはずみ、「美術館が好きなら、グッゲンハイム美術館が面白いよ。」
と、オススメしてくれた。
機内の14時間もずっと話をしてあっという間で、感謝しながら手を振って最初の別れを惜しんだ。
ジョンFケネディ空港に着いて、宿である寮まではタクシーで移動した。
早々に腹痛に襲われて、タクシーの運転手さんに無理を言って、ラガーディア空港でトイレに寄った。
ニューヨークの高速の交通量の多さに圧倒された。
凄まじい速度で追い越し追い抜き、油断すれば危険が迫る。
乗っているだけなのに緊張感が走る。
ニューヨークの街並みが見えて来ると、テンションが上がって来た。
ついに!来たんだ!
途中の道ではあの有名なアポロシアターの前を通り、宿はハーレムにある。
ハーレムと言うと、ガイドブックでは治安も悪く危険だと言われている。
しかし安い宿は、ハーレムに多い。
ドミトリーも、ルームシェアだし、どこの国の子と一緒になるか分からない。
そんな不安な中でも、わたしの目的はダンスだから、頑張れる。
少し不気味な古びた建物は、何重にも冊があり、檻の様だ。
それが治安が悪いという事を表しているのだろうか。
中から日本人女性の方が出て来てホッとした。
しかし、外ではそこら中で、一日中夜中もパトカーの音が鳴り響き、騒々しい。
暗くなったら外出はしない方が良いと言われた。
夕方くらいだったので、ちょっと周りを散策したくなった。
とりあえず、夕飯を調達しないと。
道を挟んだ向かいには、デリとコインランドリーがある。
少し歩けばスーパーもある。
デリで軽食を買ってみた。
ルームメイトは、どんな子なんだろう。。。
寮に戻るとそのうち日本人の声が聞こえて来た。
えっ!?
と思うくらいに、美男美女の日本人。
で、めちゃくちゃオシャレ。。。
「こんにちは!ルームメイトのかよです!よろしくね!」
赤いコートが印象的で、藤原○香風の美人な彼女は、元CAだったそうで。
辞めて留学に来ているとの事。
瑛○風のイケメン君は、ファッションの勉強をしに来ていると言う、りょうくん。
誰だよ〜!ダサい格好で行けって言った奴は…!
ダサい格好の自分が途端に恥ずかしくなった。
明日にでも、早く服を買いに行かなくちゃ。
「服なら、日本にまだお店出てない、Forever21とか、H&Mがお勧めやねん!」
大阪から来たと言うかよちゃんは、関西弁だ。
TVではお笑いの人が関西弁で話すのは聞くけど、こんな美人な女の子がこてこての関西弁を話すのは新鮮だ。
「今日な、りょうくんとチャイナタウン行って来てん。」
「2人は付き合ってるの?」
あまりにもお似合いな、ニューヨークで画になる2人だったから。
「そんなんじゃないねん!」
笑って否定するが、かよちゃんはりょうくんが好きなのかもしれないな。
しかし、夜中もサイレンは鳴り響く。
あまり眠れない中、朝4時から、携帯に起こされる。
「何してんの~?今どこ~?」
気の抜けた声で、友達のまーくんから電話。
かよちゃんを起こさない様に二段ベッドの下から起き出し、コソコソ声で
「今、ニューヨーク!」
「え~~~~っ?!!!!」
電話の向こうの声が響くので、思わず携帯を遠ざける。
1人でニューヨークだなんて、そんな無謀な事、周りに言ったら心配されるだろうと思い、誰にも話してなかったせいで、次から次へと電話がかかって来る。
電話受けた方も料金かかるから、たまったもんじゃない。
早く切りたかった。
「おはようございます」
廊下で目の大きな濃い顔をした男の子がのそっと現れる。
かよちゃん曰く「ようさんは、沖縄の人で、沖縄の三味線持ってストリートミュージシャンやってんねん。」
「かずやくんは、九州の人で元ジャ○ーズで、今はパイロット目指してるんやで。」
さすが元ジャ○ーズ!だけあって、かわいらしい顔してる!
「はじめまして〜!」
パイロット目指してるなんてすごいな!
かよちゃんも元CAだし、みんなすごいな!
「たけるくんも九州の人で、バーテンやっとるんよ。」
髭を生やして全身黒い服でワイルドな雰囲気だ。
夜はみんな出掛けてるけど、朝はみんな居るんだな。
でも、みんなそれぞれ1人で来てて、やりたい事をこっちで頑張っててすごい。
しかも、みんな年下じゃん。
27でダンス留学だなんて遅過ぎたのかな。
みんなの方が英語もペラペラだし、何だか劣等感ばかり感じてしまった。
こんなにも一箇所にオシャレな美男美女が集まるなんて、芸能界みたいだ。
大袈裟だけど、田舎者の私は胸が高鳴る。
寮は、キッチンは共通で、シャワールーム、トイレは男女別に共通である。
近くのスーパーに買い物に行った。
ニューヨークのスーパーって、独特な匂いがする。何の匂いだろう。
天井も高く、日本のスーパーとは雰囲気が違う。
買う物をレジでベルトコンベアみたいなの物に乗せる。
仕組みがよくわからず手間取っていると、店員に嫌な顔をされる。
無愛想な店員、怖いな。
戻って朝食を作る。
この旅ではなるべく食費は節約したいので、自炊中心だ。
今までまともに料理すらした事ない私だが、やるしかない。
「何作ってるんすか?」
またのそっと現れたのは、ようくん。
トーストを焼きながら、しみじみと幸せを感じる。
「ご飯食べる~?」
平凡な幸せなんていらない。
なんて思っていた5年前の自分が、髪が伸びっぱなしで、黒髪プリンになり、白髪交じりの私のこんな姿を見たら、ビックリするだろうか。
TV番組でニューヨーク特集をやっていると今でも胸がときめく。
今でも鮮明に記憶が蘇ってくる。
今の私から考えて、そんな破天荒な行動をよく出来たなと思う。
当時の好きな言葉はファンキーだ。
平凡ではない幸せは、ジェットコースターの様に、浮き沈みがある。
刺激的だけど、ずっと乗り続けて居たら疲れてしまう。
毎日騒いだり、笑ったり、喜びも大きいけれど、泣いたりする事も多かったし、もう、保証のない幸せはいらない。
5年前の私は、毎日ダンスに明け暮れていた。
ダンスを愛していたし、ダンスが恋人だった。
留学に行きたい気持ちはずっと強くあったし、アートや美術館も大好きだ。
短期だが、毎日、ダンスと美術館巡り、好きな事しかしない旅だなんて、なんて夢の様だろう。
英語もレッスンに通ったものの、ろくにしゃべれないし、親にも反対されたが、その熱意だけで決意した。
旅行に行く直前にニューヨークでは、発砲事件が起きたりで、不安がどんどん大きくなった。
周りの人に、ニューヨークはキレイな格好をして行ったら、狙われるからわざと汚い地味な服を着て行けと言われ、わざとダサい格好で行った。
ドキドキのニューヨーク行きの機内で、隣に座ったのは日本人の紳士でホッとした。
CAが英語で色々話しかけて来た時も、ボーディングカードもその人が通訳してくれた。
聞けば、ニューヨークで仕事をし妻子と暮らしているらしい。
大変気さくな方で、話もはずみ、「美術館が好きなら、グッゲンハイム美術館が面白いよ。」
と、オススメしてくれた。
機内の14時間もずっと話をしてあっという間で、感謝しながら手を振って最初の別れを惜しんだ。
ジョンFケネディ空港に着いて、宿である寮まではタクシーで移動した。
早々に腹痛に襲われて、タクシーの運転手さんに無理を言って、ラガーディア空港でトイレに寄った。
ニューヨークの高速の交通量の多さに圧倒された。
凄まじい速度で追い越し追い抜き、油断すれば危険が迫る。
乗っているだけなのに緊張感が走る。
ニューヨークの街並みが見えて来ると、テンションが上がって来た。
ついに!来たんだ!
途中の道ではあの有名なアポロシアターの前を通り、宿はハーレムにある。
ハーレムと言うと、ガイドブックでは治安も悪く危険だと言われている。
しかし安い宿は、ハーレムに多い。
ドミトリーも、ルームシェアだし、どこの国の子と一緒になるか分からない。
そんな不安な中でも、わたしの目的はダンスだから、頑張れる。
少し不気味な古びた建物は、何重にも冊があり、檻の様だ。
それが治安が悪いという事を表しているのだろうか。
中から日本人女性の方が出て来てホッとした。
しかし、外ではそこら中で、一日中夜中もパトカーの音が鳴り響き、騒々しい。
暗くなったら外出はしない方が良いと言われた。
夕方くらいだったので、ちょっと周りを散策したくなった。
とりあえず、夕飯を調達しないと。
道を挟んだ向かいには、デリとコインランドリーがある。
少し歩けばスーパーもある。
デリで軽食を買ってみた。
ルームメイトは、どんな子なんだろう。。。
寮に戻るとそのうち日本人の声が聞こえて来た。
えっ!?
と思うくらいに、美男美女の日本人。
で、めちゃくちゃオシャレ。。。
「こんにちは!ルームメイトのかよです!よろしくね!」
赤いコートが印象的で、藤原○香風の美人な彼女は、元CAだったそうで。
辞めて留学に来ているとの事。
瑛○風のイケメン君は、ファッションの勉強をしに来ていると言う、りょうくん。
誰だよ〜!ダサい格好で行けって言った奴は…!
ダサい格好の自分が途端に恥ずかしくなった。
明日にでも、早く服を買いに行かなくちゃ。
「服なら、日本にまだお店出てない、Forever21とか、H&Mがお勧めやねん!」
大阪から来たと言うかよちゃんは、関西弁だ。
TVではお笑いの人が関西弁で話すのは聞くけど、こんな美人な女の子がこてこての関西弁を話すのは新鮮だ。
「今日な、りょうくんとチャイナタウン行って来てん。」
「2人は付き合ってるの?」
あまりにもお似合いな、ニューヨークで画になる2人だったから。
「そんなんじゃないねん!」
笑って否定するが、かよちゃんはりょうくんが好きなのかもしれないな。
しかし、夜中もサイレンは鳴り響く。
あまり眠れない中、朝4時から、携帯に起こされる。
「何してんの~?今どこ~?」
気の抜けた声で、友達のまーくんから電話。
かよちゃんを起こさない様に二段ベッドの下から起き出し、コソコソ声で
「今、ニューヨーク!」
「え~~~~っ?!!!!」
電話の向こうの声が響くので、思わず携帯を遠ざける。
1人でニューヨークだなんて、そんな無謀な事、周りに言ったら心配されるだろうと思い、誰にも話してなかったせいで、次から次へと電話がかかって来る。
電話受けた方も料金かかるから、たまったもんじゃない。
早く切りたかった。
「おはようございます」
廊下で目の大きな濃い顔をした男の子がのそっと現れる。
かよちゃん曰く「ようさんは、沖縄の人で、沖縄の三味線持ってストリートミュージシャンやってんねん。」
「かずやくんは、九州の人で元ジャ○ーズで、今はパイロット目指してるんやで。」
さすが元ジャ○ーズ!だけあって、かわいらしい顔してる!
「はじめまして〜!」
パイロット目指してるなんてすごいな!
かよちゃんも元CAだし、みんなすごいな!
「たけるくんも九州の人で、バーテンやっとるんよ。」
髭を生やして全身黒い服でワイルドな雰囲気だ。
夜はみんな出掛けてるけど、朝はみんな居るんだな。
でも、みんなそれぞれ1人で来てて、やりたい事をこっちで頑張っててすごい。
しかも、みんな年下じゃん。
27でダンス留学だなんて遅過ぎたのかな。
みんなの方が英語もペラペラだし、何だか劣等感ばかり感じてしまった。
こんなにも一箇所にオシャレな美男美女が集まるなんて、芸能界みたいだ。
大袈裟だけど、田舎者の私は胸が高鳴る。
寮は、キッチンは共通で、シャワールーム、トイレは男女別に共通である。
近くのスーパーに買い物に行った。
ニューヨークのスーパーって、独特な匂いがする。何の匂いだろう。
天井も高く、日本のスーパーとは雰囲気が違う。
買う物をレジでベルトコンベアみたいなの物に乗せる。
仕組みがよくわからず手間取っていると、店員に嫌な顔をされる。
無愛想な店員、怖いな。
戻って朝食を作る。
この旅ではなるべく食費は節約したいので、自炊中心だ。
今までまともに料理すらした事ない私だが、やるしかない。
「何作ってるんすか?」
またのそっと現れたのは、ようくん。
作品名:ニューヨークトリップ 1 作家名:虹花