悠里17歳
登場人物紹介
第一章
倉泉悠里(Yuri Kuraizumi)
生まれも育ちも神戸の高校三年生。学校では剣道部に所属、毎日稽古に励む一方で同じ高校の同級生でバンドを組んでギターとヴォーカルを務める。
父は日系二世、祖母はアイルランド系のアメリカ人のクォーターであるが外国に住んだこともなく、父とは五年前に離婚して離れ離れになった。両親の離婚後小さな文化住宅に引越し、きょうだいたちも独立したので現在は母と二人で住んでいる。
性格はおっちょこちょいで、マメにメモは取るのだがそのメモを忘れる事もしばしば。３月31日生、左利き。
サラ・フアレス(Sarah Juarez)
悠里の同級生。父はヒスパニック系のアメリカ人で母は日本人。髪は黒いが全体の雰囲気や合理的に物事を考えるあたりは典型的なアメリカ人。家では日本語がなく、時には日本語をど忘れしてしまうことがある。
似たような境遇を持つ悠里とは過去にはぶつかることもあったが今では無二の親友で、中学生のときに悠里と二人でバンドを結成し細々とやっていたが、メンバーを増やして現在に至る。担当はドラムス。
牧 晴乃(まき はるの)
悠里たちの同級生。高校では生徒会の役員を務める。神戸の東、御影にある酒造会社のお嬢様で、お琴と和服が似合いそうな高校三年生。高校で出会った悠里とサラと意気投合し二人のバンドに参入。三人の頭文字を取って「S'H'Y」という名前で活動中、担当はベース。高校の文化祭でゲリラライブをすることで三人のデビューをもくろんでいる。
おとなしい性格ではあるが、三人の中では一番のしっかり者でおっちょこちょいの悠里とマイペースなサラをまとめ姉御肌をみせる。
篠原健太(しのはら けんた)
悠里が通う高校の剣道部男子主将。背は高くないが真面目な性格で、稽古のあとも一人で素振りをするような硬派なタイプ。悠里とはなぜか高校三年間同じクラス。
昨夏の剣道部の合宿で悠里に告白したが、その回答は今もなくお互いに意識はしながらも何の進展も無い今までどおりの関係が続いている。晴乃とは小学校からの知り合い。
宮浦基彦(みやうら もとひこ「ＭＭ」)
悠里たちの高校の先輩にして、悠里の兄がかつて組んでいた伝説の高校生バンド「ギミック」のヴォーカル兼ギター。現在は「ＭＭ」と呼ばれる名前でソロ活動する傍らで新人の発掘と育成も行っている。肩書きは大学五回生ということであるが大学にはほとんど行ってない。
身長193センチ、色黒でスキンヘッドの風貌は威圧感満点であるが、性格は軽く、かつてのギミックのメンバーに逆らったことはない。
倉泉昌代(くらいずみ まさよ)
悠里の母。元々は国際線のＣＡだったが、現在は小さな旅行会社を切り盛りしている。ＣＡをしていたころ、日米間で貿易の仕事をしていた悠里の父と出会い結婚をしたが、結婚生活は25年でピリオドを打った。
出張で家を空けることが多く、家事は苦手。
千賀郁哉(ちが いくや)
悠里のクラス担任の教師。教科は英語。
表向きは真面目そうで道の外れたことを嫌うような熱心な先生に見えるが、実は彼もまた高校時代は「ギミック」の元メンバーの一人でベースを弾いていた。本当は思い切ったことをやってみたいようだが、まだ２年目の新人教師でそこまでハメをはずせない。
倉泉陽人(Greg Kuraizumi)
悠里の実兄。きょうだいの中で一人だけアメリカ生まれで、ミドルネームはグレッグ。高校時代にドラマーとして組んだバンド「ギミック」を率いていたが解散、高校卒業後進学のため上京。今春大学は卒業し、ギミック解散後に結成したバンド「NAUGHT」のギター兼ヴォーカルとして現在は国内外で活動中。
ステージ上では暴れまわる姿がよく見られるが、きゃしゃな風体で普段は全くそんな気配がしないくらいに大人しい。妹の悠里とは見た目がそっくり。