小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
荏田みつぎ
荏田みつぎ
novelistID. 48090
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

目には 目で

INDEX|5ページ/5ページ|

前のページ
 

逮捕された男こそ、良い迷惑だ。これこそ権力を利用した横暴であり、これが許されるなら、我々は、落ち着いて街を歩けない。
メイヤーの妻が、浮気などするとは、到底思わないが、もし、浮気が本当であったとしても、それは、個人の問題である。日頃、行政などそっちのけで、私腹を肥やす事にばかり熱心にならず、時には、妻の機嫌もとってやれば、この様な馬鹿な真似などしなくても良い筈だ。
恥を知れ!』
と、ほぼこの様な内容が赤い文字で書かれていた。
ギョは、このビラを三千枚印刷した。そして、バイク五台で市場、メイヤーの私邸の付近、繁華街など、街の主だった場所に、百枚単位で投げ込んだのだ。
ビラが撒かれた辺りがどうなったかは、想像するに易い。
メイヤーの息の掛かった者達は、ビラの回収、書かれた内容の否定、言い訳に駆け回ったらしい。
マスターの顧問弁護士が、警察署に現れた時、署長は不在であった。弁護士は、署長の来署を待ち、罪状の確認をした。書類を取り出して、罪状など全てすり替えられたと分かっても、弁護士を前にして、署長は、
「これは間違いで、本当は薬物所持の容疑だ。」
とは言えなかった。それもその筈、そのすり替えられた書類は、本物の警官が、然るべき様式に沿って、警察署のパソコンを使い作成。そして、なにより、警察署長自らのサイン、及びその警察署だけが持つスタンプで、マスターが逮捕された日付をはっきりと示していたのだから・・
溜飲を下げようと、悪だくみをしたメイヤーだが、反対に一介の小市民、キダの人を喰った様な様々な反撃に遭った。挙句の果てに、メイヤーは、夫婦間の知られなくても良い事まで衆人の知る処となり、人気失墜、笑い者にされた。
当のキダは、昼近くまで様子を窺い、昨夜訪れたクラブの近くで食事を終え、ゆっくりとバスに乗り、釈放されるマスターを待つ事もせず、そのままパートナーとShalomの待つ自宅まで、さっさと帰ってしまった。
マスターは、罰金六千ペソで釈放となった。
釈放されたマスターは、暫くの間多忙を極めた。
まず、自宅と兼用のプロダクションのスタジオの移転。そして、勿論マニラの事務所の移転。同住所で住み続ける事は、命に関わるということだから・・。
後でキダが、話していた。
「これでマスターも、少しは大人しくなるだろう。移転や力を貸してくれた奴らへのお礼など、かなりの出費になるからな。まあ、それくらいの罰は、受けるべきだ。俺だって犯罪に手を貸して、僅かの日数で五キロは痩せた・・」
と・・。
作品名:目には 目で 作家名:荏田みつぎ