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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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風、彼方より舞い戻る 神末家綺談8

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あるべき場所へ



空気が変わった。長い長い夜が、静かに時を越えていく。

紫暮は村中の結界を結びなおし、この異空間を正常に戻しているはずだった。しかし、何の手ごたえもない。暗闇に慣れた目で、境目の印である祠をじっと見つめる。石造りの朽ちた小さな祠。

(妙だ、何だろう)

山と村との、定められた境目に、見えない糸でしきりを作る。それだけだ。穂積ほどの力はなくとも、紫暮にも即席の結界は張れるのだが。何度やっても、手ごたえを感じない。もっと言えば、境界がさらに曖昧に、交じり合っていっているような気さえするのだ。

(まるで、何か大きな意思が働いているかのようだ)

境目をなくせ、と。こちらとあちらを混じり合わせようとする、そんな意思。

(そんなことが出来るのは、一人きりか・・・)

この山と、村を支配するもの。みずはめ。彼女の意思が、村中に、そして血を同じくする紫暮らにも影響を及ぼしているのだろう。

(瑞を、呼んでいるのか・・・?)

紫暮は静かに息を整える。寒い。今夜は冷え込む。腕時計を見れば、蛍光の文字盤はいつからか止まったままだ。ここはもはや異空間だ。夜の村、というベールをかぶった、彼女の、みずはめの意識世界。

「紫暮さん・・・!」
「絢世か」