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雨と匂い

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「・・・あーあ」
昇降口で立ち止まり、愛羅はため息をつく
「振られちゃったねえー」
「本当だよ!今日は部活ないから早く帰れるとおもったのにさ・・・」
「ごめんって、本当」
「いや、いいよもう・・・傘ないの?」
放課後、先生に用があるという詩織に付き合っていたら、見事に大雨
おまけに風もなかなか強い
手を伸ばして、触れる雨粒は、とにかく多い
後三十分早ければ、避けられたに違いないのに
そして愛羅は傘を持っていない
詩織はというと
「大丈夫!こういう時の為の折りたたみがあるんだよ!」
と、リュックから取り出して折りたたみ傘を広げた、が
「おおー流石!ってちっさ!」
女の子らしい可愛いデザインとサイズで、どう見ても一人入るか入らないかというものだった
「忘れん坊の愛羅も入っていくといいよ!」
「お前が遅いからだろ!?もー、入るけどさ、荷物濡れるって・・・」
「荷物守ろう!身体を犠牲にして!」
「言い方かっこいいけど風邪引くからねそれ」
ケラケラとふざけたことを言う詩織に、愛羅は呆れる
作品名:雨と匂い 作家名:夏小町