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私の読む「枕草子」 278段 積善寺

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法会が終了して女院は還啓される。院の役人や公卿など、今回は半数ばかりがお供申された。

 中宮が内裏に行かれたことも知らないで、
女房の従者達はみんな二条の宮に居られるとばかり思って二条の方に移っていったので、
内裏に従った女房達の従者は、待てども待てども見えないうちに夜が更けてしまった。内裏では女房達が宿直着を持ってきてほしいと従者を待つのに、さっぱり見えもしなければ音沙汰もない。夜が更けてしまった。人目に立つ晴着の着馴れないのを着て、寒いのでぶつぶつ腹を立てるがどうしようもない。翌朝従者達がやって来たのを、
「どうしてそう気がきかないの」
 などいうが、従者達が弁解することももっともだ。

次の日に雨が降った。殿は、
「このことで私の運勢がすっかり分りました。いかが御覧になりますか」
 と中宮に申しあげられたが、その得意さも当然なことだ。
しかし、そのおりすばらしいと拝したことも、今の世の有様と比較し申せば、全然一つ口に申しあげられそうにもないので、憂鬱で、
沢山あった事実も皆書きさしてしまった。
現在時めいているのは左大臣道長一門の繁栄である。