小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

私の読む「枕草子」 133段ー156段

INDEX|8ページ/8ページ|

前のページ
 


 そう大きくない公卿の子弟の殿上童達が、
着物をきちんと着せられて歩くのも、美しい眺めである。
 かわいらしい稚児をちょっと、抱いてあやしたりしているうちに、疲れて寝てしまった大変にいじらしい。

紙製の人形「ひひな」道具。小さな蓮の浮き葉を池から拾い上げた。
賀茂祭に用いられる二葉葵
なにもかにも小さいものは皆美しい。

まるまると太った二歳ばかりの稚児が藍と紅との間色の薄物で着物の丈が長く、袖を紐でくくり上げたのが這い出てくる、また短い袖のを着ていてもどれもが可愛い。八,九,十歳の男児が子供っぽい声で本を読んでいるのは、美しい。

 鶏の雛が脛が長く、白く可愛げで、短い衣をまとってぴよぴよと喧しく鳴いて人の尻についたり先に出たりして歩くのが可愛い。また、親鳥がいっしょに連れだって走るのも、みんな美しい。
家鴨や鵞鳥の卵。瑠璃の壺。

【百五十二】
 人前で調子づくもの。
 格別なこともない子供で、それでもさずがに親は甘やかしつけた。
せき
 こちらが気が引けるほど立派な人にものを言おうとする前に、先に立って離れた。
局のあちこちに住む子供達、五、六歳の子は悪戯盛りで物を取り散らかしたり壊したりするのを、平素は止められ抑えられて気ままにもできないのが、母親が来ると得意になって、
「あれ見せて、ようよう、母ちゃん」
と言いながら母親を揺するが、大人達が話の最中で急にも聞き入れてくれないので、自分から探し出して見付けて騒ぐのは、大変に憎たらしい。

 それを、「いけません」と取り隠すこともせずに、「そんなことおよし」とか「壊さないのよ」とかだけ、笑いながら言う、そんなのは親も憎い。
自分としてもまたむやみに言うこともできずに見ているのは気がかりなものだ。

【一五三】
 名前が恐ろしいもの。
 青淵。谷の洞。鰭板(はたいた)(板塀の類)。くろがね(鉄)。つちくれ(土塊)。雷は名前だけでなく、本当に恐ろしい。はやち(暴風)。ふそう雲(不祥雲。凶変の前兆の雲)。鉾星(彗星)。ひぢかさ雨(肘を傘代わりにするから、俄雨のこと)。荒野。 

がうだう(強盗)なんと言っても恐ろしい。らんそう、(乱声(らんじょう)舞楽の始めなどに奏する調子の早い楽)だいたいが恐ろしい曲である。かなもち(扇骨木か)、すべて名前が恐ろしい。いきすだま(生霊(いきりょう))。くちなはいちご(蛇苺)。おにわらび。鬼ところ(山芋ににた蔓草)。むばら(「うばら」に同じ。刺のある小木の総称)。からたち(枳殻)。いりずみ(煎炭)
(あぶって湿気を除いた炭か)。うしおに(牛鬼)(地獄閻魔の庁にいる獄卒で牛頭(ごず)馬頭(めず)の鬼をさすか)。いかり(碇)、名前より見るのも恐ろしい。

【一五四】
 見ていると何でもない物でも文字に書くと大層なもの。
 いちご、倭名抄九に覆盆子と書かれている(苺)。
 つゆくさ、宇類抄に鴨頭草と書かれている(露草)。
 水ふぶき、倭名抄に「芡」が書いてある。(水蕗) 
くも、倭名抄八に蜘蛛。
くるみ、倭名抄四に胡挑。
文章博士(もんじょうはかせ)。
得業(とくぎょう)の生(しょう)
文章博士の下で、文章生のうち作文(さくもん)の試験に合格した者の称。
皇太后宮権大夫(こうたいこうぐうごんだいぶ)皇太后宮職(しき)の定員外の長官。
山もも、倭名抄九「楊梅」に「夜末毛々」。

【注】倭名抄は平安時代の辞書。字類抄は「色葉(いろは)字類抄」の略。平安時代の国語辞書、二巻または三巻。文章博士は大学寮に属し詩文や紀伝道をつかさどる。

いたどりは、虎の杖と書くそうである。虎は杖などがなくてもよい顔付きなのに

【一五五】
 むさくるしげなもの(煩わしげなものの意)
刺繍の裏面。
鼠の子がまだ毛も生えないのを、巣の中から転がり出てきた。
裏をまだ付けていない毛皮の衣。
 猫の耳の中。
格別きれいでもない所の暗いこと。
これということもない人が,子供など大勢もって世話を焼いている。
 それ程深くも愛していない妻が、気分がすぐれないで長い間病んでいるのも、男の気持としてはうっとうしいことだろう。


【一五六】
 つまらないものが幅をきかせている折り、 正月の歯固めに使う大根。
 行幸の時の姫大夫、内侍司に属して、行幸には馬に乗って供奉する。
 ご即位の時の宮門の衛士。
 六月・十二月晦日の帝のお体を計測する(節折よおり)の蔵人。
 春秋二季に行われる四日間の御読経の時に参加した僧の先頭に立ち威儀を整え、進退作法を教える威儀僧。季の御読経の際は御前僧二十名を率いて紫震殿から清涼殿に参上して威儀を整える。赤い袈裟を着て、僧の名を読み上げる姿がきらきらしている。

 季の御読経、式場の装飾をする蔵人所の衆。清涼殿母屋の御帳台中に仁寿殿の本尊画像をかけ、廂に地獄絵の屏風を立てる。。

 春日祭(二月・十一月の一の申の日に行われる)、前日奉幣使に近衛の中・少将が遣わされる、その供をする舎人たち。
元日主上のお屠蘇を毒味する少女。
正月卯杖を奉る真言・天台の験者
寅の日清涼殿で行われる五節の試楽。舞姫の髪を整える理髪の役。
節会の際主上の御給仕に奉仕する少女。