海が君を浜辺にする
~1章「僕は君じゃない」~
いつかの夏の日、出会ったのは
いや、出会ってしまったのは君と僕。
反対側にいるのは僕。
こちら側に居るのが君。
それは逆であり、同じでもある。
君はこちらに向かってくる。
僕が?僕は?僕?僕だな。僕だね。
そう、僕なんだ。君は僕なんだ。
海に流されてしまえばいいのに。
そのまま永遠に浜辺になってしまえばいいのに。
それすらもできないのが僕で、
僕は君で、君が僕で、君は僕なんだ。
なんで2人いるの?なんで?なぜ?そうだ。
僕が君だからだ。だから君はおかしい。
君は僕ではないけど。僕は君で、君はだめなんだ。
夕日が沈むと同時に君は消える運命なんだ。
そして君は朝日が昇ると同時にやってくるのだ。
浜辺にしっかり焼きつかれている君は、僕なんだ。
つまり君が僕なんだ。君は僕。僕は君じゃない。
君が勝手についてくる。
だから君は僕と一緒に着いてくるのか。
わかったよ。