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チンタ 残してゆく じゃじゃ馬さんへ

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8 決裂



腹立ちまぎれに
怒鳴りつけて
そのまま君を
置いてきた

ここ何日か
僕と会うのを
ひたすら避けて
電話にも
出なかった君

打ちひしがれて
うつむいて
何よりも
ついこの前とは
全く違う
君の顔

良くないことが
起こったんだと
想像しない
訳がないだろ

「しばらくは
会えなくなる」と
切り出しかけて
それも辛くて

一瞬迷った
隙を突かれた

「もう会わない」と
君は一言
言ったっけ

「あなたと出逢って
冷たい人間に
なっちゃった」と

それは本心?

何日か前
僕の詩を
巧まず歌い
屈託なく
笑い転げて
僕の家族を
気づかった君と

今しがた
無表情に
僕を拒んだ
陰鬱な君と

いったいどっちが
本物なんだ?

それでも
今までは
明日があった

何事も
なかったように
言葉を交わせる
明日があった

でも今回は
明日がない

だからこそ君を
呼び止めた

「僕はしばらく
国を離れる」
そう言わなければ
ならなかった

「でも遠からず
きっと戻る」と
言いたかった

黙ったままで
去りたくなかった

なのにとうとう
言えずじまいで
お決まりの
けんか別れ

どんな事情
だったかなんて
僕には到底
わからないけど

怒りとも
口惜しさとも
つかない顔で
君は何を
言いたかった?

今でもまだ
“理性が感情に
負ける”と困る?

今でもまだ
僕の前で
心に理屈の
鎧を着たい?

そんなもの
蹴っ飛ばして
君らしく
体当たりして
来ればいいのに

子供っぽい
屁理屈なら
からかって
笑い飛ばして
やったのに

魂が
よじれるような
苦痛なら
黙って隣りに
いてあげたのに

結局僕は
何もして
やれずじまいで
さよならだ

まして

僕の想いを
伝えるなんて
論外だった

笑うなら笑え
君を愛してる