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チンタ 残してゆく じゃじゃ馬さんへ

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1 図書館



「話はちっとも
終わってない」と

初対面の
僕に向かって
君はまったく
譲る気配も
なかったし

僕は僕で
図書館の
ほかの生徒に
後ろ指さされるなんて
癪だった

完璧な
意地の
張り合いだった

新聞部だと
名乗る君なら
詩のコンテストの
優勝者を
取材したいのも
道理だろう

でも
応募なんか
した覚えもない
僕にとっては

“優勝”なんて
言われても
何のことやら
寝耳に水

実感も
喜びも
ありえなかった

それどころか
自分の胸の
奥底を
いきなり裸に
された気がして
とても居心地が
悪かった

わかるだろ

詩を人前に
披露するなんて
僕が好んで
するわけがない

僕の代わりに
応募したのは
自分だと
誇らしげに
白状しに来た
ワルディマンさんを
ほんの一とき
恨みもしたけど

君が図書館に
訪ねてきたころ
正直言って
詩のことは
とっくのとうに
忘れてた

でも
2年連続優勝が
かかってた
君にとっては

僕はさぞかし
つっけんどんで
いけ好かないと
映ったろうね

何たって
君の前にも
先客がいて

2度も読書を
邪魔された
腹いせ半分

僕は君を
かなり邪険に
あしらったから