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漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

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12―2 【曜】

 【曜】は、元々日光が輝く意味。だが、一週間は七曜星となる。
 日曜日は太陽が輝き、月曜日は月が輝く日。

 ならば土曜日は?
 土星が輝く土曜日。ちょっと暗すぎないか?
 天体写真で冠をかぶった土星、もうちょっと光れよと言いたくなる。

 そんな【曜】、国宝に「曜変天目茶碗」(ようへんてんもくちゃわん)がある。
 漆黒の釉面に結晶による斑紋が群をなし、瑠璃色の美しい光彩を放ち、妖しく光り輝く。宇宙を茶碗に閉じ込めた様と評されてる。
 こんな深い青の輝きを曜変させる茶碗、世界に三つしかなく、いずれもが日本にある。

 そんな希少な茶碗、秀吉が信長に献上しようと思っていたが、家康が調子に乗って、どうもガッチャンと割ってしまったようだ。
 それ以来のことだ。秀吉と家康の仲が悪くなったのは……、と裏伝説となっている。

 こんな「曜変天目茶碗」、とにかく茶碗の突然変異。
 過去に陶芸家が幾度となく再現しようと挑戦してきたが、未だ完成していない。

 しかし、この妖しく青く輝く【曜】、人を虜(とりこ)にし、多くのロマンを生んできたのだ。