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漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

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8―2 【滞】

 【滞】は、「さんずい」に「帯」。
 この「帯」は「おび」に「巾」(前掛け)を着け、ぎゅっと締め付けている形。
 そこに「さんずい」が付き、【滞】は「水」が「帯」で締められたように流れずに、とどこおっていることだとか。
 こんな解釈に、「うーん、なるほど。しかし、ちょっとこじつけ?」と呟きたくもなる。

 さらに、【滞】は前に同じ意味の「渋」を付けて『渋滞』となる。
 車の渋滞、誰しもこれにはウンザリだ。

 だがこの渋滞、それはその長さではない。車の走行スピードで定義付けられている。
 一般道では20キロ/時以下、高速道路なら40キロ/時以下になったら、『渋滞』と言うらしい。
 やっぱり車が連なった距離で『渋滞』とした方がピンとくると思うのだが……。

 そんな渋滞を、数学の微分方程式を使って解消しようとする学問がある。
 それは「渋滞学」が呼ばれ、最近脚光を浴びている。

 実例としては、東日本大震災の被災地に、いかに渋滞を起こさずに物資を運ぶとかだ。
 そんな渋滞学が近々カーナビ渋滞情報にも取り込まれるとか。
 そのポイントは、渋滞している道があり、そして抜け道があった場合、三割の人たちだけに対し、カーナビは抜け道ありとの情報を流すそうな。
 なぜなら、みんなに流すと、抜け道も混んでしまうからだって。

 そんなの……、これ学問?
 ちょっと不公平じゃないの?
 こう思うのも、脳の血液が【滞】っているためなのかも知れない。