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漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

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1―1 【純】

 【純】、汚れがないこと。
 「純愛」、「純真」、「純情」と熟語を作る。
 英語ではピュア(pure)。日本語のジュンと同様に響きが良い。

 【純】は、元々厚織物の端に垂れた混じりけのない単色の糸のことらしい。
 しかし、こんな【純】、「糸」と「屯」に分解できる。そして語源を辿(たど)って行くと、この「屯」、なかなか大したものなのだ。
 地面を突き破るために、草の芽が頭をもたげる様。地中でぐっと力を溜め込んでいることを言うらしい。
 「糸」の横にこんな力強い「屯」が貼り付いて、「糸」が秘めた力を持ったことになる。
 したがって【純】、本来はまことにパワフルなのだ。

 例えば、「純愛」、「純真」、「純情」。
 現代の流れから行くと……、それらは美しい。
 しかし、何か弱々しさを感じ取ってしまう。

 だが、【純】は元来充分過ぎるパワーを保持している。
 だから、人生の旅路の果てに、たとえ満身創痍(まんしんそうい)でヨレヨレだとしても、「純心」でありさえすれば、清々しく、かつ力強く生きて行ける。
 なぜなら、そこにはまだまだ新芽吹く【純】パワーが残されているからだ。