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漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

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4―6 【恋】

 【恋】、この古い字は【戀】
 漢字の上の部位は「乱」(もつれる)と言う意味があり、心が乱れることらしい。
 そして、そんな【戀】、万葉集ではまた違った形でも詠われている。

 例えば、『葦垣の 外にも君が 寄り立たし 【弧悲】けれこそば 夢に見えけれ』
 恋は【弧悲】とも詠まれた。すなわち【恋】とは【弧悲】で、独り悲しく思うということらしい。

 しかし、最近の世間ではこんなことが囁かれている。
 「愛」は、漢字の真ん中に「心」があるから、それは「真心」。
 だが【恋】は、下に「心」があるから……。
 はい、それは――『下心』で〜す。

 うん、確かに、これに納得する紳士淑女、たくさんいるかもね。

 そんな下心一杯の【恋】、それは初恋から始まる。
 そして失恋したり、灼熱の恋をしたり、中には道ならぬ恋にまで頑張っちゃう人がいたりして、やがて【恋】は――【弧悲】になる。
 だが不思議なものだ。男も女も決して懲りないのだ。

 ならば風流に……都々逸でも。

 ♪〜♪ 【戀】という字を分析すれば
     「糸」し「糸」しと 「言」う「心」 ♪〜♪