漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品
4―5 【肉】
【肉】、切り取られた肉片の形だとか。
うーん、なるほど……なんとなく、そんな形に見えるかな?
そんな【肉】片を焼いて食べさせてくれるのが、今流行りの焼き肉店。カルビ/ロース/牛タン/ミノ/ホルモン等々、いろいろな肉片がある。
しかし、そんな焼肉店、江戸時代の両国にもあった。「ももんじ屋」と呼ばれていたらしい。
漢字では「百獣屋」と書く。
なぜなら、農民が鉄砲で捕獲してきた猪や鹿、それに牛や馬、さらに犬に猿。まさになんでもありの百獣の焼き肉店だったとか。
ただ当時は肉食が嫌われていた。そのためか、上手いこと考えたものだ。
客寄せには、焼き肉を「薬喰い」と呼んだそうだ。
そして猪肉を山鯨(やまくじら)、鹿肉を紅葉(もみじ)などと、風情あるメニューに変えたようだ。
そんな江戸時代の焼き肉店の「百獣屋」(ももんじ屋)、犬や猿は遠慮したいが、一度食べに行ってみたいものだ。
作品名:漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品 作家名:鮎風 遊