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漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

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37―6 【葉】

 【葉】、草冠の下の部は木に新しい三本の枝が伸びてる形であり、草冠で木の葉となったとか。

 そんな【葉】、秋となると赤や黄に色づく。まことに美しい。その「秋の夕暮れ」を下の句にした有名な三句・三夕(さんせき)がある。

  寂しさは その色としも なかりけり 槙(まき)立つ山の 秋の夕暮れ (寂蓮法師)
  心なき 身にもあはれは 知られけり 鴫立つ沢の 秋の夕暮れ (西行法師)
  見渡せば 花も紅葉も なかりけり  浦の苫屋の 秋の夕暮れ (藤原定家)

 それにしても、いずれももの哀しい。

 さてさて、こんな秋は遠慮して、「天高く馬肥ゆる秋」を兼ねて、紅葉狩りにでも出掛けたい。
 早速、どこへ? となるが、日本人が訪ねたことがある紅葉名所は、嵐山、日光、箱根、香嵐渓、京都東山、十和田湖の順だとか。
 えっえー、香嵐渓と十和田湖はまだ行けてない。おいおい焦らすなよと言いたいが、日本に居座る秋雨前線が去ってしまえば──

  秋の夕日に照る山もみじ
  濃いも薄いも数ある中に
  松をいろどる楓(かえで)や蔦(つた)は
  山のふもとの裾模樣(すそもよう)

 【葉】、さあ、出掛けてみよう、まずは近場の紅葉狩りに。