漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品
34―6 【時】
【時】、「日」は太陽の形、中に中身があるから線を加えた。それに「寺」、なぜ「寺」なのだろうか?
【時】は、「寺」でものを時間的に持ち続けていることを意味し、そのことが【時】ということだそうな。
一方、「持」という字がある。これは「寺」がなにか物理的に持っていることであり、これが「持つ」ということだとか。「寺」に絡んだ似たような字源があるものだ。
さてさて……、うかうか三十きょろきょろ四十としている内に、歳月人を待たず。
光陰矢の如しで、気が付けば十年一昔となっている。
さらに、昨日は今日の昔と時は流れ、髪に白いものが混じる。
そして知るのだ、人生白駒の隙を過ぐるが如しと。
小学生の頃、夏休みは永遠に続き終わらないと思えるほど長かった。
しかし、最近は1週間。いや1ヶ月。いやいや1年が、猛烈な速さで飛んでいく。
年を取ると時が経つのが速い。これは一体どういうことなのだろうか。
ネットで検索すると……、年を重ねると、その日常生活は知ってることや経験したことばかり。そこには驚きや感動がないため、記憶に残ることもなく、あっという間に時は流れ去って行くのだ、と説がある。
そして、さらに訓示まで。
時の流れを遅くするためには、驚きや感動のある日々を送れ。つまり日々一喜一憂し、ハラハラと暮らせと。
【時】という漢字、「寺」が付いているだけに、纏わる話しの解釈も説法めいている。
しかし、もうやってまっせ、毎日。
最近の株の乱高下、一喜一憂のハラハラ生活を。
されども――【時】は超特急ですがな。どうしてくれんねん!
作品名:漢字一文字の旅 紫式部市民文化特別賞受賞作品 作家名:鮎風 遊