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漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

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32―4 【綺】

 【綺】、斜めの模様が綾織りされた光沢ある絹織物のこととか。
 これに薄絹の意味のある「羅」が付いて『綺羅』となる。いわゆる今流行りの「キラキラ」だ。

 キラキラネーム、注目を浴びている。希空に澄海、琥珀、結愛、心美とあり、そして心愛、大翔。これらが人気があるとか。
 しかし、読めませ〜ん。
 答えは――のあ、すかい、こはく、ゆあ、ここみ、ここあ、ひろと――だと。

 だが驚きだ。ほとんどがPCでひらがなから漢字変換できた。
 できなかったのは「のあ」と「すかい」だけ。後は一発変換、すでに市民権を得てるということか。

 そして、こういうのをDQNネーム(ドキュン)とも言うらしい。
 さらに範疇を広げれば、オノマトベ(フランス語)。
 これは猫をミャオミャオと呼ぶ擬音語、他に擬態語、感覚語などを総括している。
 つまりキラキラという言葉、それはオノマトベの一つになる。
 そして、こんなのを普段から使えば、なにか時代の最先端を走ってるような気分になってくる。

 が、そんな舞い上がってる気分に水を差すようで申し訳ないが……。
「見上げたまへれば、 人もなく、月の顔のみ きらきらとして」とか、「御容貌(かたち)など……隈なくにほひ きらきらしく」と。

 これは一千年前の源氏物語の一説。まさに紫式部はキラキラを多用していたのだ。
 そしてキラキラネームもてんこ盛り。

 光源氏を筆頭とし、藤壺中宮に夕顔、花散里に末摘花、そして浮舟に匂宮。
 このように一千年前にすでにキラキラネームだらけだったのだ。

 綺羅綺羅の【綺】という漢字、神代の昔からいろいろなものを輝かせ、そして今も衰えないパワーを持っているのかも知れない。