小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

INDEX|214ページ/269ページ|

次のページ前のページ
 

31―1 【慈】

 【慈】、「心」の上の部は「やしなう」の意味があり、その心が「いつくしむ」だとか。ここから慈愛、慈雨、慈悲、慈母などの熟語が生まれた。

 こんな愛深き【慈】を使った野菜がある。それは【慈姑】。

 「姑」(しゅうとめ)の慈愛ある野菜、それは一体何なんだろうか?
 苦労してる嫁から「そんな野菜なんてあり得ない、巫山戯ないで!」と声が飛んできそうだ。

 【慈姑】、それは「クワイ」だ。

 芽が出ることから縁起が良い。おせち料理の定番。しかし、苦い。まさに姑か?
 そんな慈姑が頭に貼り付けば、「慈姑頭」となる。
 これは江戸時代、町医者などが結った髪型で、髪を一本で後頭部で束ねる。慈姑のひょろっとした芽が出ているように見えるから、「慈姑頭」だ。
 ポニーテールなら色気もあるが、貧乏そうで滑稽な髪型、……、いや失礼しました。

 しかし、最近町中で時々慈姑頭のおっちゃんを見掛けるから不思議だ。江戸時代にタイムスリップした脳外科医、JIN(南方仁)きどりなのだろうか?

 いやいや【慈】の漢字が付いているから、人生を楽しみ、慈しむ気持ちがあるのだ、ということにしときましょう。