小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

INDEX|195ページ/269ページ|

次のページ前のページ
 

28―3 【掏】

 【掏】は(トウ)と音読みし、右部は窯で土器を焼く形だとか。

 熟語に『掏摸』がある。
 こんな字、なかなか読めない。だが、(すり)と読む。
 いわゆる人様から財布や物品を失敬する「スリ」のことだ。

 スリは窃盗罪であるが、時代は明治から昭和、スリたちが多く暗躍していた。
 関東一円の大親分が仕立屋の銀次、本名は富田銀次郎と言ったらしい。
 それに比べ、スリの新人は財布を抜き取ると恐くなり、すぐに走り出すそうな。そこから新人を「駆け出し」と呼ぶようになったとか。

 そんなスリたち、いろんなヤツがいた。
 ケツパーの三ちゃん、ケツパーとはケツは尻、パーは財布のこと。
 尻のポケットの上から財布を触り、どれくらいの金額が入っているかを当て、抜き取った。
 そのケツパーの梅ジイ、ベテランであったが、最後はアメ横商店街で逮捕された。

 デパ地下を専門にしていたのが、デパ地下のさと婆。
 それに声掛けタマちゃん。優しく話し掛け、そのスキに財布を抜き取ったとか。

 多くのスリたちがいたが、最近話題に上がったのが駒崎姉妹。スリデビューがこま*り姉妹と同じ頃だったとか。
 そして2012年10月29日、姉は駒崎恵美子80歳、妹は妙子72歳、、梅田の阪@デパートで財布を盗んだと逮捕された。
 スリ歴50年のベテランではあったが、高齢のため指の動きが鈍くなっていたとか。

 とにかく【掏】(トウ)という漢字、『掏摸』(スリ)といけない熟語になるが、どことなく笑えてくるから不思議だ。