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漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

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26―5 【告】

 【告】、小枝に神への祝詞を入れた器をつける形。これより神へ告げ祈ることを言うとか。
 こんな【告】、冬が明け、春を告げてくれるものたちがいる。

 春告鳥は鶯(ウグイス)。
 春告草は梅の花。
 春告魚は鰊(ニシン)、鮴(メバル)、玉筋魚(イカナゴ)、魚偏に春の鰆(サワラ)などいろいろだ。

 北海道、蝦夷地のソーラン節
  ♪ ニシン来たかとカモメに問えばぁ〜 ♪

 三月になれば産卵のために北海道の西海岸にやってくる。アイヌ語で「神魚」(カムイチェップ)、まさに待ちに待った尊い春告魚だ。
 そして鮴(メバル)、古来からメバルと呼ばれ、毎年春を告げてきてくれた。目がグリッと大きく、「眼張」と言われてきた。淡泊な白身で、塩焼き、唐揚げ、そして煮付けと美味だ。
 まさに春へと目覚まさせてくれる。

 鰆(サワラ)は一メートルを超える大きな魚。しかし、西京焼きなど美味しい。
 春に産卵のために沿岸へ寄るため、春告魚と呼ばれてきた。

 このように【告】、いろいろなものたちが待ちに待った春を告げてくれる。
 だからありがたく、この世も捨てたものじゃないのだ。