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漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

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26―2 【茸】

 【茸】、草冠に「耳」。元々「草、茸茸(じょうじょう)たるかたちなり」と言われ、草が生い茂るさまを言ったとか。
 読みはもちろん(きのこ)だが、(しげる)と(ジョウ)もある。

 そんな【茸】、「匂い松茸味しめじ」だ。
 しかし、気を付けなければならない。毒キノコがある。

 三大猛毒キノコはドクツルタケ、シロタマゴテングタケ、タマゴテングタケ。その中でも最強はドクツルタケだ。
 その姿はまるで純白の衣をまとった天使。そして欧米では「殺しの天使」(destroying angel)と呼ばれている。

 こんなドクツルタケ、日本中どこでも見られ、毎年何人かの人があの世へ旅立ってるのだ。
 肝臓/腎臓をスポンジ状に破壊し、一週間苦しみ抜かせて、死に至らしめるとか。それも体重60キロの人で、ドクツルタケ約1本分、たったの8グラムで。
 まさに天使というより悪魔だ。
 「匂い松茸味しめじ、殺しはドクツルタケ」と付け加えた方が良さそうだ。

 いずれにしても【茸】という漢字、ひょっとすればミステリー小説の題材に使えそうかも。