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漢字一文字の旅  紫式部市民文化特別賞受賞作品

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24―2 【株】

 【株】とは、木の根に近い部分。

 地中を根と言い、地上のものを【株】と言う。そして木を切った後、【株】はずっとそこに残る。
 この残るということから、世襲で継続的に保持される地位や身分を【株】と呼ぶようになった。
 ここから【株】式会社となり、【株】式市場と意味が広がった。
 英語で【株】のことを「stock」と言うが、「蓄え」の意味があり、「残り」となにか似通ってるような気がするから不思議だ。

 そんな【株】式市場、「天井三日、底三年」、また「山高ければ、谷深し」などの格言が多くある。
 その中でも、ウォール街の投資家・ジョン・テンプルトンはいみじくも言った。

 【強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観と共に成熟し、幸福のうちに消えて行く】
 (Bull market are born on pessimism, grow on akepticism, mature on optimism, and die on euphoria.)

 まさに株式市場に対しての諸行無常、輪廻の世界観だ。
 うーん、なるほどと納得してしまう。
 と、感心してみても……、日本の株式市場ではバブル崩壊後本物の強気相場は生まれていない。「悲観」が二〇年間以上も続いているではないか。

 しかし、ここはことわざの「辰巳天井」。辰年/巳年は株が上がると言われている。
 アベノミクス、やっと巡り来た千載一遇のチャンスなのかも知れない。期待したい。

 ことほど左様に、【株】とは、悲喜こもごもの思いを抱かせてくれる漢字なのだ。