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結局逃走しなかった兄妹、タイトル考え直し中

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沙耶を呼ぶような素振りで2階に上がり、俺の部屋だった場所に入る、下ではあの人がヒステリーを起こしているのか暴れるような音と悲鳴が響き、静かになった
隠してあったバールを握り、下へと降りる、あの人を殺して部屋を荒らそう、強盗殺人にみせて少しでも時間を稼ぐ、沙耶にはドライブ中に親を殺された第一発見者になってもらう
最悪捕まっても、あいつには脅されて無理矢理やらせていた事にすれば少しは罪が軽くなるだろう
そこまで考えて、階段を降りると、そこで今考えた計画が全くの無駄になっていた

今へ戻ろうと廊下に行くとこめかみから血を流して倒れている母、その隣で大振りのの金槌を持っている沙耶がいた
「これで、お兄ちゃんも私も同罪だね」
俺は、守ろうとしていた妹に母を殺させたのだ

手に持っていたバールが滑り落ちる、身体に力が入らない、頭もぼんやりとして、どうすればいいのかもわからない、ただ座り込んでしまいそうになる
それでも、俺は震える身体を抑えて、もう会えなくなる沙耶の手を取る、少しでも、少しでも長い間一緒に居られるように

何も言わず、凶器のハンマーとまだ使ってないバールを持ち、車に隠す、沙耶の手を握り外を歩く、気づけばもう21時を越えていた、暑い空気を浴びながら頭を無理矢理冷やす
俺らが出来ることはもうない、母を沙耶が殺してしまった
下手に工作をして細かい捜査で沙耶が疑われるとまずい、それならいっそ、堂々と俺が捕まればいい、父殺しの罪も明かせばそれ以上の追求はないだろう
夜になっても明るいこの街で、俺はいつまで潜んで居られるのだろう
横目で沙耶をみてると沙耶もこちらを見ていた
ぎこちなく笑いかける沙耶、その姿をみて、俺は戦慄をする、肩から肘にかけてにべっとりと血が付いていた
沙耶も気づいてなかったのだろう、俺が指摘をすると沙耶も狼狽する、これまで何人とすれ違った?血の付いた服を見られているのか?そもそもここは治安がよくないため警察は多い、見られたら一発で終わりだ
今から帰るか?いや、無理だ、事件現場に戻った証拠を残してしまったら沙耶があったら疑われる、ならば…

「公園にその服、埋めにいくぞ」
都会よりと言われる街だが、幸い近所に大きい公園がある、街灯のない暗闇の中に埋めればまず見つからないだろう

公園まで俺の上着を沙耶に羽織らせて血の跡を隠す
道の途中のコンビニで黒いシャツを買う
公園へと着いた頃に俺の携帯がなった
「お願い、出ないで」と、沙耶の弱々しい声が聞こえる、今日聞いた中で一番辛そうな声だった
「確認するだけだよ」
俺は携帯をとるとそこには岸良の名前が表示されていた
「沙耶、何か気付かれたのかもしれない」
携帯に出る、そして「今、どこにいるの?」という岸良の開口一番の質問
気づいている、よく考えれば一度帰っているのに家の電気は付かず、車はある不審な状況だ、それを帰り道に見つけたのだ
目敏く賢い奴だ、やはり、殺さなくてはいけないのか
俺が犯罪者役ならあいつは探偵役になるのだろうな

沙耶は酷く震えて怯えている、俺は肩を抱き、少しでも震えが収まるように落ち着かせる
「ごめん、沙耶、もう一度だけ、お前の前で人を殺す、お前にも手伝ってもらわないといけない」
沙耶は震えながら静かに頭を振る
当然だ、でも俺は岸良を殺さなくちゃいけない
沙耶のために、沙耶のために…沙耶のために?
沙耶は殺すことを嫌がっているのに?
正しいのか?間違ってるのか?
でも岸良を殺さなければ岸良は母を殺した犯人に気づくかもしれない
でも沙耶が罪を償いたいのなら…?それは当然の考えなんじゃないのか?

「ねえ、お兄ちゃん、もう無理だよ」
沙耶の言葉が俺を現実に戻す
「私たちはもうバラバラになって、もう二度と会えなくなっちゃうんだと思う、今日か明日か、近いうちに捕まって、それで終わり
今日が一緒に居られる最後の時間かもしれない、だからさ、せめて一緒に死のう?」
そういうと沙耶はポケットから小さな小瓶を二つ取り出した
「これを飲めば私たちは二度と目覚めない、ずぅっと一緒、もう離れない」
どこか夢心地な沙耶と少し楽しそうでもある声、俺はそんな現実感の薄さに少し、怖気付いた
「そんな薬、どこで手に入れたんだ」
「ずっとずっと前、私たちがもうすぐ離れちゃうと思ってた頃、離れちゃうくらいなら、せめて一緒に死にたいの」
冗談の類で無いことは声でわかる、そして、その毒が何かわからなくても、飲めば本当に死ぬだろうってことも
けれど俺は、その瓶を手に取る
俺も沙耶も全て失った、これが沙耶の願いなら、俺はそれを叶えてやりたい
沙耶も満たされたような顔で瓶を持ち俺を見ていた、俺も微笑み返し瓶を開ける

さようなら、この世界


「待って!」
岸良が邪魔をしにきた
やはり最後にはこいつを殺さなくては終われないみたいだ