便利屋BIG-GUN2 ピース学園
言われてみると二人とも金髪だし雰囲気がなんとなく似ている気もする。姉妹と言えば疑う人はいないだろう。テレビでよく見る謎のゴージャス姉妹よりはずっと似ている。いやそんなことではなく。
「兄貴とは義理の兄弟だが?」
「確かにそうでした」
ジェニーは今度は大人っぽく笑った。ちーとも勝てないな、この人には。
去っていく前に瀬里奈は俺達一人ひとりに礼を言った。
「ジムさん、優しくしてくれてありがとう」
ジムは恥ずかしそうに頷いた。
「三郎さん、ラジオ聞きました。歯に衣着せない言葉っていいですね」
三郎は何か答えたようだが聞き取れなかった。
最後の一人に瀬里奈は特に感慨深げに話しかけた。
「ジュンちゃん、私もあなたみたいに強くなるわ」
ジュンは照れ隠しにえへへと笑っていた。
こいつは今回色々暗躍していたな。まぁ、ありがとうよ。
「料理もうまくなるわよ」
いやだから誤解なんだけど。まぁいいか。
俺の事は無視していくかと思ったんだが、俺の前にも立ち止まった。
「あなた、ただの悪党だとか格好つけてるけど、お父さんの受け売りでしょ」
ばかばらすな。
そうなんだ、とジュンがつぶやいた。
いいじゃねーか、弟子なんだし。
「まだこの仕事続ける気?」
以前同じような質問を違うヤツにされたような。
「まぁな、他に能がない」
瀬里奈は一瞬、ふんと目を反らした。
「お前はこれからどうするんだ」
瀬里奈は少し考えてからズイと踏み込んで俺を睨みつけながら言った。
「今は何も出来ないわ、でもいつか学校に帰って法律の勉強するの」
ほお。
「それで検事か警察官になってあなたを捕まえるわ」
俺は苦笑してしまった。
「待ってるよ」
瀬里奈の顔から不意に剣が消え寂しげな表情になった。
「それまで生きてなさいよ」
瀬里奈の顔がさらに近づいた。
唇が軽く頬に触れた。
瀬里奈はクルリと背を向けるとそれ以上サヨナラも言わずに車に乗り込んでいった。
去っていくアストンマーチンにジュンだけは手を振って見送っていた。
しばらくすると俺の携帯が震えた。
瀬里奈からのメールだ。
もう俺からは送らなくてもいいな。
おやすみ瀬里奈。
The end
作品名:便利屋BIG-GUN2 ピース学園 作家名:ろーたす・るとす