便利屋BIG-GUN 1 ルガーP08
「ジムは?」
「外出中」
「三郎君は?」
「警察に事情聴取中の恋人に会いに行った。意外とまめなんだ」
ベンに視線が移ってさすがに表情が曇った。
「お前のせいじゃない。気にするな」
まぁ無理な話だろうが。軽くうなずいたようには見えた。
「これちょうだい」
構わないがスタンドは返せよ。
「ねぇ、ケンちゃん」
少し間を置いてジュンは呼びかけてきた。真面目な声だった。ちょっと焦る。
「まだメールの返事返ってないわよ」
「ドタバタしてたから忘れたな」
さらに突っ込んでくるかと思ったがいたずらっぽく笑いやがった。
「もう変な仕事やめなよ?」
「ん…… そうだな」
それもいいかもな。俺は本気でそう思った。
そこへ。
「もし…… BIG−GUNとはこちらですか?」
三人組の中年男が来店した。全員スーツで帽子まで目深にかぶっている紳士たちだが何か思いつめた表情である。見るからに普通じゃない雰囲気を漂わせている。真剣で影があり「背徳」の怯えも見える。「仕事」の依頼人によく見られる特徴だ。
ジュンの表情がこわばった。
「はい、いらっしゃい。御用は?」
腕を組む振りをしてショルダーホルスターのベレッタに手をかける。すると真ん中のちとハンサムな男がにこりともせずつげた。
「ジャック・マクソン氏の紹介で来ました。あなた方がNo.1だと」
早安の親父だ。
「話は聞いています。奥の部屋へ」
俺は三人を事務所奥の応接間に通した。ジュンの横を通る時、中央の男は軽く会釈したが帽子までは取らなかった。ジュンにはカタギの仕事の話ではない事が確信できたのだろう。俺にクレームをつけようと口を開いた。
そのかわいいお口が言葉を発する前に俺はおどけて言った。
「悪いな、ちょっと店番頼むぜ」
返事を聞かず俺はドアを閉めた。
ふくれっ面をしたちょっとセクシーな美少女の姿は分厚いドアの向こうに消えた。
The end.
作品名:便利屋BIG-GUN 1 ルガーP08 作家名:ろーたす・るとす



