小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

第1章   12話   『歩み寄るヒカリ』

INDEX|4ページ/4ページ|

前のページ
 

そう言うとヒカリは屋上を後にするのだった。

「いずれ解る時がくる…か。一体どういうつもりなんだろうな、ヒカリのヤツ…」

謎は闇に…んでもって謎は深まる一方だな。
…まぁ、いくら考えてもしょうがねぇし、
わかったところで今の俺にどうこう出来るわけでもないしな。

あいつもいずれ解る時がくるって言ってたし、それまで、俺は出来ることをやる。
それだけしかなさそうだ。

俺が考えに耽っていると、屋上の扉を開ける音がしたので振り返ってみる。
すると、そこには心配そうな顔で立っているミナの姿があった。

「どうした、ミナ?心配して来てくれたのか?」

「…ヒナちゃん。あの、その大丈夫ですか?さっき、そこでヒーちゃんに聞きました。ヒナちゃんの魔力を引き出したって」

「そうか。あぁ、身体は何ともない、大丈夫だ」

「…そうですか。それはよかったです」

しかし、ミナの表情は未だに変わらず暗いままだ。

「でも、正直、わからんこと尽くめだ」

「え?それはどういうことですか?」

「何であいつは俺にいろいろ情報を教えてくれたり、さっきみたいに俺の中の魔力を引き出してくれたりしたんだ。ヒカリは、シェルリアのため、自分のためって言っていたけど本当にそれだけなのかってな」

「ふふふ。確かにそうですね」

俺の話を聞いていたミナは、さっきまでの暗い表情から楽しそうな顔で微笑んでいた。

「ヒーちゃん、口ではそう言っていますが根は優しいんですよ。だから、きっとヒナちゃんのことも気にかけてくれてるんじゃないでしょうか。私のときもヒーちゃんにいろいろと助けてくれましたし」

「そうか?俺にはとてもそうは見えなかったけどな」

小生意気なことばっか言うわ、高笑いして俺を小馬鹿にする魔法使いにしか俺には見えないね。…猫ヒカリ状態なら考えてやってもいいが…って何を考えてるんだ。

「ふふふ。ダメですよ、そんなことを言っては。でも、結果はどうあれヒーちゃんのおかげでヒナちゃんの魔力を引き出してもらったわけですのでよかったじゃないですか」

「…まぁそうだな。俺の魔力を引き出せるのはシェルリアの魔法使いにしか出来なかったらしいし」

…まぁ、禁じられた方法かつ無理やりだったがな。ホントに大丈夫なんだろうか?

「そうですよ。ヒナちゃんもちゃんと感謝しないとダメですよ」

ミナは嬉しそうに微笑んでお姉さんモード全開な口調で俺を嗜める。
そんなミナを見ていた微笑ましくなり俺は微笑み返して、こう言うのだった。

「そうだな。今度、礼でも言っておくか」

「はい、私もそれがいいと思いますよ」

すっかり笑顔を取り戻したミナは、表情がいつも以上に明るかった。

「でも、魔力を引き出してもらったのはいいが、これからどうするかな。魔法のことなんか全然知らないし、使い方もわからんしよ」

ヒカリに教えてもらうわけにもいかないし。…っていうか俺が嫌だし。

「ミナ」

「何ですか、ヒナちゃん?」

「ミナが魔法使いってことで見込んでお願いがある。俺に魔法を教えてくれ」

「え?あの私がですか?ヒナちゃんが私でいいなら…」

「本当か?そうしてくれると俺も凄く助かるぜ」

ミナなら優しく丁寧に教えてくれるだろう。…そう、『優しく』丁寧にな。

「あ、でも…私なんかじゃ頼りないですか?私、いつもおどおどしてますし、人見知りですし…」

「いや、そんなことはないぞミナ。ミナはいつも相手の気持ちもちゃんと考えたり、人を思いやる心も優しさもちゃんと持ってる。だから、ミナは頼りなくなんてない。俺が保障する」

俺はミナの可愛らしい帽子の上から頭をわしわし撫でてやった。

「ふわぅ…ヒナちゃん。…えへへ。何かヒナちゃんにそう言われると恥ずかしいですね。でも、そう言っていただけると本当に嬉しいです」

ミナは頬を赤らめながら恥ずかしそうにしていた。

「わかりました。ヒナちゃんのために出来るかぎりですが、魔法のことについて私もヒナちゃんにサポートします。頑張りましょうね、ヒナちゃん」

「おう!頼むぜ!」

力強くミナにそう答えた。

「それで、いつから魔法の練習を始めますか?早速明日から始めましょうか?」

「…うーん」

明日は土曜か…。何か中途半端だな。

「いや、明日からだと何か中途半端だから来週から頼むぜ。それに、明日は踏ん切りつけたり、いろいろやっておきたいこともあるしな」

…これからは前みたいに普通の生活が出来なくなるかもしれないし。

「そうですね。私もそれがいいと思います」

「あと、日曜は花見やるみたいだしな。ミナは初めてだったよな?俺が花見の楽しみ方をレクチャーしてやるからぱーっと楽しもうぜ」

「はい、もちろんです。ふふふ♪レクチャーの方もよろしくお願いしますね、ヒナちゃん」

向日葵笑顔満開の極上スマイルを見せてくれていた。

「あはは。それじゃ、日曜は思いっきり花見を満喫しないとな」

「はい。もちろんそうするつもりです♪お花見…本当に楽しみです」

日曜の花見を楽しみで待ちきれないミナの嬉しそうな顔を見ながら、俺たちは家路につくのだった。


<次回へ続く>