スクラップ
あたしには何も残ってはいない
あたしが拒絶したものが
鉄のかごに封印され押し潰され
残された行為は
原始的な生き方
その大きく開けた口で
命を貪る
本能がまだ働きを辞めてはくれない
本能を吐き出す男たちが
草原の草のように
あたしに餌を投げて行く
まだあたしは肉食にはなりたくない
まだ草を食べて生きていきたい願望はある
不思議だと思う
プレス機に押されながらも
意識を無にしながらも
行為の
生命への潜在感が川底から浮かぶ
石ころのように
あたしを執着させる
まだあたしは20歳
生きる事は長いはずだけれど
糸を切る事も紡ぐ事も
あたしの拒絶した
得体の知れないものたちが
決めてしまうのかもしれない
今と言う刻の表情だ