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20世紀に思う

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 素晴らしい文章ではありませんか。そこにある文章の内容をひとつひとつを読むと、この放送を聞いて涙を流す人の気持ちが幾分かでも分かったような気がします。

 玉音放送というのは、戦争に敗れたことをただ知らせるだけでなく、これから来るであろう困難に対し日本国民としてこれから力強く生き、いつの日か世界と再び肩を並べられるよう困難な道であっても力を合わせてを歩こうではないか、絶望のどん底に沈むのではなく何度でも立ち上がろうと国民を鼓舞しているのだと私は解釈します。それも負けたからやり返してやろうという怨みの感情ではなく、これからの時代に適応した形で。
 これを原点として日本国民一人一人がその内容を実践をしたからこそ日本という国は連合国により解体されることなく一つにまとまり、戦後のみならず地震や台風など壊滅的な災害があっても力を合わせて立ち上がり、世界の国々に遅れを取らぬよう世界の流れを受け容れつつも自らの方針で努力をしたからこそ今日の世界で最も信頼される国の一つになった。私にはそう思えてならないのです。

 戦争は互いの意見のぶつかり合いが力と言うものに変わったものであり、どちらが正しいかという答えはないと考えます。勝った方が「強い」のであって必ずしも「正しい」ということではないと思うのです。人のケンカと同じで、どっちも我慢できなかった結果の最大級の具現化が戦争ではないでしょうか。ですから喧嘩両成敗というのが正論で、どの戦争も避ける方法はあったと思います。
 戦争はあってはならないことですが、あの頃の日本のとった選択が間違っていたかと言われれば「全く」間違っていたとも思いません。勝った側と負けた側とではトランプのカードを真逆の方向から見るように同じものでもひとつの事象について見えかたが全く変わってきます。ただ、勝った方には負けた方の側は見えないものです、そしてその逆も。
 敗けを認めた以上は今までのことよりも未来に目を向けて歩いて行こうではないか。玉音放送の内容をまとめればそういうことなのだと思うのです。戦争に至った経緯と現状、そして将来の針路。長くない文章の中に過去と現在、そしてそれから導かれて進むべき未来を踏まえています。
 だからこそこれは素晴らしい文章であって「日本人とは斯くあるべき」という指標を未来に向けて示してくれた、新しい日本すなわち戦争によらずに世界と肩を並べる国の再建を宣言するものなのではと思います。

 戦争のない平和な世界であることを望みます。日本という国は龍馬のように、たとえ武器を持っていてもそれを使わずに問題を解決することができ、かつ、欧米の大国とは違う方法で、平和を実現できる国であることを信じています。
 玉音放送にある志は道半ばです、こうして年に一度は振り返り、先を見て歩んで行きたいものです。

作品名:20世紀に思う 作家名:八馬八朔