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20世紀に思う

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 文語体で書かれてありますが、動画でご覧になったことのある方はわかるようにこの文章をそのまま天皇陛下ご自身が読み上げておられます。それも一言一句、全く間違えることなく。
 この放送を少年時代に聞いた生き字引の皆さまからお話をお伺いしたのですが実際のところ、その内容を一回こっきりの放送ですべてをその場で理解できたという人は小数だったようです。恥ずかしながら著者も全文を一読しただけで理解は出来ませんでした。字面を見てなんとか理解したというくらいです。当時はラジオの放送ですから聞くだけですので無理もないといえばそうかも知れませんね。
 現人神とされた天皇陛下の肉声が一般国民に向けて初めて放送されたものでもあり、それまでは近づくことさえはばかられた方が自らの肉声をもって戦争の終結を知らせたことや軍関係者の補足説明等があって戦争が敗戦によって終わったということが日本国民に理解されていったようです。

 自分なりの解釈を紹介したいと思います。前段と後段に分けて要約すると、まずは前段、

  ・(東南アジアなどの)各国の共栄の為に米英に宣戦布告した
  ・他国の領土を侵すつもりはない
  ・最善をつくすも戦況はよろしくない
  ・爆弾(原爆)により多くの一般国民が犠牲になり、このままでは
   民族さらには人類の滅亡を招き、祖先に申し訳が立たない

よって連合国の共同宣言(つまり敗戦)を受け入れることにした。
 前段はこれまでの状況と、(ポツダム)宣言受諾の経緯を説明しています。

 続いて後段、要約すると陛下のお考えとこれから日本国民がどう振る舞うべきかと指針を示しておられます。

  ・協力してくれたアジアの国々に遺憾の意を現す
  ・戦死した者やその家族、戦争で職を無くした者に深く心を傷める
  ・これから日本国民が行く道はとてつもなく険しい
   
ここで出てきます。

   然レトモ朕ハ時運ノ趨ク所堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ

このフレーズです。ポツダム宣言の受諾は辛い選択ではあるが、こうすることが日本の未来のためと判断したとあります。
 続いて、これからの日本がどうあるべきかということがしっかりと書かれています。その中で著者が一番印象に残ったことは、

   情ノ激スル所濫ニ事端ヲ滋クシ或ハ同胞排擠互ニ時局ヲ亂リ
   爲ニ大道ヲ誤リ信義ヲ世界ニ失フカ如キハ朕最モ之ヲ戒ム
   
この部分でした。つまりは、

   感情的になって仲間割れをして間違った方向に進むべからず

ときつく戒めておられるのです。戦争に敗れ、さらには日本国民がそれを契機に民族が崩壊することをもっとも懸念されているのです。
 そしてこれからの道は険しいけれど、将来のために国民が団結して、日本人としての誇りをもって世界に遅れることのないよう努力するようにと結ばれているのです。

作品名:20世紀に思う 作家名:八馬八朔