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レイ ~rey~

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 ハァハァ……走り疲れた気分。なんでこのコンビニに来ちゃったんだろう。一番よくお父さんとお母さんと散歩に来たからかな。入っても……意味ないし。喉が渇いたな、公園の水でも飲もう。それにしてもいい天気だなぁ。この公園の芝と草は気持ちいいなぁ。しばらく転がってみよう……気持ちいい。はぁ、これからどうしたらいいんだろう……なんだかいつも寝てる。でも昔ほどじゃないかな。お腹すいたなぁ……お家、もう誰もいないかな……最後のご飯か。残ってるかな……あ、ここの道、よく覚えてる。いつも同じルートであのコンビニ寄って、この公園で一休みして帰った道だから。懐かしいな。でも、本当にお父さんとお母さんは……もうずっと、住んでなかったのかな。だったらご飯は誰が?
 この道、あ、あの猫じゃらし、よく持って帰ったな。お家に家族として迎えた猫のうちの一匹はこの猫じゃらしはすごく好きだったな。僕は一度吸い込み過ぎてくしゃみが止まらなくて、あれ見るのも苦手になってたから。でも懐かしいから一本持って帰ってみよう。この尻尾みたいな動き、なんだかムズムズするな。クスッ。あ、おっきい車が無くなってる。帰ったんだね。良かった。入れないかな……あれ、あ、はいれちゃった。せっかくの猫じゃらし、家の外に落としちゃった。
 ただいまぁ……て誰もいないんだもんなあ……あ、ご飯、まだあった。僕、もっとお肉系が好きなんだけどな。水々しいやつ。
 あ、洗面所の鏡、なんだか、誰か映ってほしいな。淋しいよ。誰もいないなんて、振り返っても誰もいない。鏡の右下も左下も、何も覗き込んでこない。当たり前か。でも、前は僕が映っているのが怖かったけど、今は僕も映らなくなって、最初は嬉しかったよ。でも、映らなくなってから、お父さんにもお母さんにも、無視されるようになった気がする。
 僕って、どんな毛並みだったかな。多分、さっきの猫よりは、綺麗な毛並みだったと思うよ。お父さん、お母さん、最後のご飯。昔好きだったドライフード、ありがとう。

     ―了―

作品名:レイ ~rey~ 作家名:ェゼ