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覇王伝__蒼剣の舞い3

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 以前のドラゴン七星・心宿としてではなく、彼が仕える白王・聖連の僕として。
 七星の使命も記憶も、彼にはなかった。
 「心宿さま、私です。燐です」
 「知らんな」
 目の前にいる少女に、心宿は残酷に笑む。
 「心宿、これはどういう事だ?」
 「出てきたか、尾宿。珠を渡しにきたか?」
 「お前は…燐の事も忘れたようだな」
 「ただの人間に用はない。蒼剣とドラゴン七星、そして蒼王の命だ」
 ____カン!
 宙で交わった剣は、蒼い火花を激しく散らした。
 「なにが…あった!?お前に」
 「何もない。一気に終わらせてやる」
 心宿が、片手を右から左へ払う。
 ___しまった…!
 「尾宿さまぁっ!!」
 「ぐっ…、なか…ご…、きさ…まっ」
 蒼い光に包まれながら、心宿は笑っていた。躯を蝕む痛みに悶える尾宿を見下ろしながら、楽しそうに。
 コロンと転がる青白い珠を拾い上げ、心宿は最後のとどめを差しにかかる。
 「やめてっ!お願いです、心宿さま。どうして…」
 「燐ちゃん、駄目だっ」
 「さらばだ、尾宿」
 心宿は、剣を振り下ろした。
       *****************************************
 _________キィ…ン!
 心宿の剣が、弾かれた。
 「無防備な相手に、汚ねぇ事をしやがる」
 「…蒼王…」
 「セイちゃん、この男と知り合い?」
 「いや、初めてだ」
 憎悪の眼差しを向けてくる男に、清雅は平然と答えた。
 「清雅さまっ、あれ!」
 拓海の指さす先に、それはあった。蒼白い珠。
 「ドラゴン七星、龍珠か…」
 「蒼王、お前の命も貰うぞ」
 心宿が、再び片手を上げた。額に『心』の一字を踊らせて。
 「清雅さま、彼もドラゴン七星です!」
 「どういうことだ?」
 「にげ…ろ。こいつは…手を触れずに相手を…裂く…」
 「お前は?」
 「吾は…ドラゴン七星・尾宿…、そして彼は…心宿だ…」
 「同じ七星同士で、どうして殺し合う?」
 「わから…ない…」
 心宿は、手を右から左へ払った。
 「うわっ…」
 キリキリと躯を締め上げる激痛が、四獣聖を襲った。
 「…くそっ」
 「清雅さま」
 清雅は、龍王剣を抜いた。尾宿、そして心宿のドラゴン七星の力の影響を受けて、龍王剣は蒼く光っていた。
 『吾、蒼とならん』
 「____蒼剣!」