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とうもろこし

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窓の外が騒がしい。
陽射しが強く硝子を照らし 硝子越しにその暑さが突き抜けてくる。独書室ことボクの部屋のリビング兼仕事場は 朝から暑い。
眩しさに目を細めながら 外を眺める。屋根も 木々も 地面さえ テカテカと光って見えた。ジィーと声を嗄らすまで鳴くのか 蝉。何処にいる? いつまで引っ張るんだ、その蒸し暑さを増幅させる鳴き声。隣のベランダから境目を越して蔓を絡ませた朝顔の薄紫の花が開いている。少し毛羽立った葉に丸くのった水玉が 少しばかり涼を感じさせた。
いつもの場所に キミの笑顔が咲くまでに原稿を仕上げたい。団扇を 扇風機に切り替えて 暑さを凌ぐボクが居る。

暑い。

昨日、買い物に出た帰り道、オレンジ色よりも赤い夕陽がとてもきれいだった。前方を気にしつつも 見上げながら歩いているとズボンの後ろポケットで窮屈そうにしていた携帯電話が音をひそめながら 振動を腰に伝えた。
キミからメールが届いた。確認すると いつものように『にゃん』と書いてある。
あの日のメールはやっぱり珍しく 奇跡のようなできごとだったのだろうか……。
しかしいつも通りだと安堵する。やはり今回も謎解きをすることになった。
だいたいの場合『にゃん』は翌日もしくは二十四時間内に 事柄が起きる。

昨夜ひょっこり現れることを想定していたボクは、何となくそわそわとしていたようで 纏まる案が散漫になってしまった。その結果が 今朝から机に向かっているという現状となっている。

作品名:とうもろこし 作家名:甜茶