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大竹 和竜
大竹 和竜
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Mut-ae-volution 射手 第二章

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 コーチはいつのまにやらセダンの後ろ、トランクを開いてなにやら用意している。ずるりと出てきたのは、黄色やら赤やら、カラフルな円形の模様が描かれた大きな紙。アーチェリーの的紙だ。ヨシュアもそこへ駆け寄ると、それとほぼ同じ大きさの板のようなものを引きずり出した。それを抱えて重たそうにしている。彼に続いてそれに近づいて、何かと覗き込んでみると、それは表面に整然と草が編みこまれた、的を貼り付けるための畳だった。畳というものは東洋でしか見ることのできない、エキゾチックなものだと思っていたので、ついついそれに釘付けになってしまう。
 畳を眺めていると、コーチに声を掛けられた。「どうしたのフランシス?ヨシュアの顔に何かついてる?」どうやらヨシュアを見ていたと勘違いしたようだ。
「あ、ああ。なんでもないです」
 アーチェリーなんて今日が始めてで、畳なんて見たことなかった、そう言えるわけもない。この一週間、党本部でアーチェリーのレクチャーやトレーニングは受けたが、用意まで自分でやったわけではないのだ。
 トランクに入っていた、油絵だとかを描くときに使う、イーゼルのような物を引っ張り出す。的を掛ける為の道具だ。かなり年季が入っている。
 半ば間の抜けた声で「え~?なんかついてますかぁ?」というヨシュアは、もう空き地の中ほどあたりまで畳を運んでいた。