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ヤマト航海日誌

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というような気分が今、おれの中で盛り上がっているわけなのね。ああ? なんだよ。嘘だと思うか。まあ、君は思うよな。自分の信じたいことだけが、真実だと思いたい。自分に都合の悪いことは、起こらないと信じていたい。うん、だからまあ、嘘だと思っていればいいけど、なんでなんでおれがどうして、『敵中』をいま続けねばならないのか。

どう考えてもそういう状況じゃねえよなこれは。冥王星で勝つとこまでは書いたしさ。いま出している章を終えたらその先を、なんで書かなきゃいけないだろう。そんな必要があるだろうか。

ないな。もうこの先は、読みたかったらカネを払えと言っていい話と思うな。「カネ払え」とまでは言わなくても〈お気に入り〉に登録してユーザー名を公開する者だけ読めるようできるならしていいくらいの話と思うな。うん、やめた。やめようやめよう。『コート・イン・ジ・アクト』にまた値を付けて売れるようになるまで『敵中』は休止しよう。

『エリア88』の神崎悟は〈大和航空〉の株を40パーセント握ることで会社を乗っ取る。おれも『ヤマト』の四割をもう書いたと言えるんじゃないかな。神崎のあれは人に知られぬところでコッソリとやっていたからできたことで、風間真がいくらカネを持っていようと、「この額でこの会社を売ってください」と言っても「売り物じゃありません」と言われておしまいなんじゃないかな。


「ボクはあの神崎のように、40パーで支配権だけ奪おうというのじゃありません。カネはあるから100パーでみんな買うと言ってるんです」

「だから売り物じゃありません」


って。『エリパチ』のシンが日本に帰ってからの話はてんでおもしろくない。シンとタメ歳であったはずの神崎がなぜか四歳上になったりしているが、そうまでしてシンを憎んで殺そうとした理由を説明しても、そいつがまるっきり、シンを憎んで殺そうとした理由の説明になってない。ずっと疑問に思っていたすべての謎が解けるどころか、『2199』の〈ぶっちゃん森雪〉の過去が明かされるかのようなイカレた話を読まされるだけ。一体全体なんだこいつは。これで辻褄を合わせたつもりか。

一から十まで全部が全部デタラメじゃねえか! コンビニで雑誌をビリビリ破いてそう叫びたくなる。孤児院前に捨てられていた赤子の名前がなんでどうして〈風間真〉だとわかるんだ。わかったのならその子は親に捨てられたのでなく、首相の子供が攫われていたのを犯人が置いていったとわかるはずだろ。それほどまでの大事件がなぜ騒ぎにならんのだ。「風間英人の子だ」とわかっているのにどうして親に返さずに孤児院で育てられるんだ。その他もう何もかもがグチャグチャでどこからどう突っ込んでいいかすらもわからない。何年間も連載を追った挙げ句にどうしてこんな〈パチもん〉を読まされなければならんのだ。答えろ!! 新谷!!

コンビニで雑誌をビリビリ破いてそう叫びたくなる。こんな話のために日本に帰ってくるならお前、日本に帰ってこなくていいよ。と、シンに心底そう言いたくなる。

アスランには空母をやった。うん、それだけで充分だろう。シン、お前はそっちはいいから、エラーとともにバンバラのために戦え。それが大統領一家のために死んだ仲間に報いる道だろ。おれはだんだんアスランよりも〈バンバラ戦記〉の続きの方が読みたくなってきたんだからと、あのマンガの連載をおれはコンビニで立ち読みしながら当時に思ったものだった。

シンよ、お前は何か勘違いしているようだが、仕事はまだ終わっていない。〈マークIII〉と〈プロジェクト4〉の間に直接の関係はないのだ。このふたつは「関係がない」と言うより〈商売敵〉の関係で、〈マークIII〉にとって〈プロジェクト4〉は邪魔な存在なのだ。大統領にもらったカネでお前が〈プロジェクト4〉を潰せば、〈マークIII〉は大喜びでバンバラの民と国土を食い物にする。おれはお前の知らないところでボッシュと仲間がしている話を読んでるのだが、それによればそうなるし、そんな事情はマッコイじいさんが調べて知っているはずだ。

なのにどうしてそこで話を終わりして日本に帰ってしまうんだ。やるべきことは最後までやれ。アスランよりもまずバンバラ。〈プロジェクト4〉より先に〈マークIII〉。ボッシュの背後でバンバラのウランとダイヤを狙っていたやつらを潰さないうちは日本に帰るな。アスランへ戻るな。それがわからんようなやつは主役じゃない。お前なんか主役じゃない!

コンビニで立ち読みしながらシンにそう叫びたくなる。それが『エリパチ』の連載のあのあたりの展開だった。確かにバンバラは複雑だろう。〈マークIII〉を倒すだけではどうにもならぬだろうがしかし、800億ドルももらっておいて討つべき悪を間違えるのは、読者として勘弁ならん――いや、お前はコンビニで立ち読みしていただけなんだろと言われるかもしれないが、しかし最近〈ブックオフ〉で全巻揃いで買ったんだぞ。

そのおれが今あらためてそう思うのだ。『エリパチ』はけれどもそこでライラという女が、

   *

「もう……たくさん!! 殺すのも殺されるのも…人の命をなんだと思ってるの!!」

エラー「しかし…きみのお父さんやお母さんは…」

「いわないで!! もう…それ以上いわないで…」

 などと言いやがって、バカ野郎、女はすっこんでろ。そのうえ、エラーが、こんな女には顔にビンタを喰らわすべきであるというのに、

「すまん…」

   *

なんて言いやがって、あーあー、抱き合っちまいやがんの。これで話が終わっちまった。終わってないのに終わっちまった。しかもこれがスイスですよ。スイス! まさに〈サイド6〉! エラーとライラのふたりだけスイスに行ければそれでよし! バンバラ人がそのためにどれだけ死のうと苦しもうとお構いなし。ボクらに関係ありませーん!という……。



 許せん。



わからないのか、エラー。バンバラじゃその女が着ける下着のためにそいつと同じ歳の少女が一万人も体を売っていた。そのマリー・アントワネットは無論知っていたけれどそんなの全然気にしちゃいない。アントワネットだからな。今回、革命が起きるのだって〈マークIII〉が仕組んだと言うばかりじゃない。

結局、このライラの母がアントワネットで娘もアントワネットだからさ。この女どもの贅沢が国を傾け、〈マークIII〉がツケ入る隙が生まれたと言うことなんだ。なのに、都合良くその点を忘れて偉そうなことを言っている。アントワネットと違って男と〈サイド6〉へ行けたからだ。

それがわからないのか、エラー。そいつは笹本が書いた『ヴィナス』のマギーやスウやミランダと何も変わらないんだ。『ARIEL』の三人娘と変わらないんだ。ヒロと同じで自分に都合の悪いことをなかったことにできるから被害者意識を募らせられる。だから訳知り顔をしてのぼせた口を叩いていられる。
作品名:ヤマト航海日誌 作家名:島田信之